銭其しん副総理、「ひとつの中国は両岸対話の前提」


国務院の銭其しん副総理(中国共産党中央政治局委員)は8日、第9期全国人民代表大会(全人代)第4回会議に出席している台湾代表らとともに、「国民経済と社会発展の第10次五ヵ年計画要綱に関する報告」および「要綱(草案)」を審議した。代表らは、「香港や澳門(マカオ)での『一国二制度』の成功は、多くの台湾同胞に良い影響を与え、より多くの台湾人が『平和統一、一国二制度』を認知するようになった。祖国の経済力強化にともない、両岸の人々による経済面や文化面での交流はますます頻繁なものになっている。中華民族が絶えず努力することで、台湾問題は速やかに解決されると信じている」と語った。

これを受けて銭副総理は、両岸の人々による経済、文化を始めとする各方面での交流はここ数年、ますますさかんになっているとした上で、「昨年大陸を訪問した台湾同胞は延べ300万人。両岸の貿易額は300億米ドルを超えた」と具体的数字を挙げた。また「国際的にも、ほとんどの国と地域がひとつの中国を承認する立場を取っており、全体的に見て現状は落ち着いていると言える。第10次五ヵ年計画の実施にともなう中国の総合的国力の増強は、祖国統一のための重要な基礎のひとつとなるだろう」と述べた。

銭副総理は続けて、「台湾との問題は、中国での内戦で残された問題であり、アメリカが軍事的干渉を続けてきた結果である。中米両国が外交関係を樹立した後も、アメリカは台湾に対する先端兵器の輸出を続けている。日本が台湾を統治していた50年間に生じた『皇民意識』は今もなお一部に残っている。これは台湾問題の複雑な国際的背景を示すものだ。世界にはひとつの中国しか存在せず、大陸と台湾はいずれもひとつの中国に属しており、中国の主権と領土は分割不可能なものである。これは両岸がひとつの中国を堅持するための共通の基礎であるが、寛容性に富んだものでもある。われわれが主張するひとつの中国とは、大陸と台湾を含むひとつの中国のことである。両岸の同胞はいずれも中国人で、大陸と台湾は等しく中国の領土であり、我々の共同の故郷である。現状を維持したいという台湾同胞の希望を叶えるためには、『平和統一、一国二制度』が台湾同胞の利益を守れる最良の方法だ。香港と澳門が順調に祖国復帰を果たしたことが、この点を証明している」と説明した。

銭副総理は、我々が堅持する「平和統一、一国二制度」の方針は変わることはなく、繁栄した、豊かで強い、統一された中国は、我々の断固とした目標でもあるとした上で、「台湾での『一国二制度』の実施は人民にとって有利であり、統一後台湾はこれまでの生活や社会制度を維持することができる。ひとつの中国の原則を承認すれば、どのような問題についても話し合うことができる。ひとつの中国の原則は回避することはできず、またあいまいにすることも不可能だ。しかし台湾当局の指導者はいまだにひとつの中国を受け入れないばかりか、自分が中国人であるということも認めていない。このような状態では話し合いは難しい。両岸関係が緊張状態にある原因は、このような台湾当局の姿勢にある。台湾当局の指導者がいち早くひとつの中国を認めることは、台湾の社会の安定ならびに両岸関係の発展に役立つ」と語った。