投資、消費、輸出は経済成長を支える三大要素である。ここ数年民間資本による投資が、国内消費需要の低迷の影響を受けたため、内需を始動させたり輸出を増加させたりする力が不足している。したがって、投資を増やして経済の成長を保つことはすでに人々の共通認識となっている。合理的かつ効率的な投資体制は、政府投資と民間投資がともに増えるようにするか、あるいは政府投資に導かれて民間投資がそれ相応の伸びを示す体制であるべきだ。それによってこそはじめて経済が牽引され、「両輪駆動」の良好な投資環境が形成されるのである。
しかし、この数年における民間投資の伸び幅は小さなものである。民間の投資意欲が低下し、融資のルートがスムーズにいかない原因として、考え方や意識が旧いこと、政策が不平等であること、投資の分野が狭いこと、融資によるサポートが弱いこと、市場ニーズが低迷していること、法律面での保護が欠けていることなどがある。例えば、福建省における2000年の民間投資の伸び幅はわずか4.5%にすぎない。1998年のアモイ市及び鎮、農村の個人投資はその年の市の投資総額の1.89%しか占めず、1995年比37.4%のダウンとなっている。また聞くところによると、浙江省温州市の竜港鎮は20億元を投じて「中国第一農民城」を建設したが、そのうちの80%は農民から集めた資金だったという。WTO加盟を間近にひかえて、外国籍企業の進出、外資のウエートの増大に直面し、産業構造の調整、最適化、グレードを強調する「第10次5ヵ年計画」が始動したこの時点において、我が国の民間投資をいかに始動させ、「第10次5ヵ年計画」期の経済成長を保つかということは、すでに避けて通れない重要な問題となっている。
一、民間の投資分野を拡大する。国の関連産業政策や法律法規から見れば、確かに民間投資に対する制限は次第に縮小してはいるものの、制限されている分野はまだ少なくない。具体的に言うと、外資企業は投資分野では超国民待遇を受け、国有企業は国民待遇を受けているのに対して民間企業は低国民待遇を受けている。また基礎産業や公用事業、サービス業などの分野においては、民間投資に対する資格審査は相変わらず制約が多い。輸入設備の免税や所得税特恵、再投資減免税などの面でも、民間資本は不公平な待遇を受けている。そのほか、融資や株式の上場などでも国有企業ほど特恵政策を受けていない。
WTO加盟の日が近づくという背景のもとで、インフラや公用事業、サービス貿易管理体制も整備しなければならない。外国資本の導入が認められ、インフラや公用事業、サービス貿易業に残された自己保護、発展の時間が非常に限られたものになったこの時点において、投・融資体制の改革を大いに進め、大胆に民間資本の投入体制を導入することは、民間投資を始動させ、政府の建設資金不足の問題を解決する効果的な方法であるばかりか、わが国の一部の基礎産業や公用事業、サービス貿易業における外国資本の衝撃や独占を減らす道筋でもある。したがって、民間投資を始動させるには、公平な競争の投資環境を創りあげることが大事であり、内外の企業に同じの国民待遇や市場進出の機会を与えるべきである。今後、外資企業に開放される分野はすべてそして優先的に民間資本に開放すべきである。WTO加盟後、異なった業界においてはまだ3年ないし5年間の移行のための保護期間がある、という点に着目し、思い切って民間資本を外資進出が認められた分野に進出させ、民間資本と国有、集団経営企業が先取りして入れる優位を生かし、これから国外企業との競争の中で有利な地位を占めさせるべきである。
二、民間資本の参入を拡大し、国有企業改革に力を入れる。「やることもあり、やらないこともある」という原則のもとに、国有資本を次第に競争から身を引かせて、民間資本の参入により大きな発展の空間を提供することである。そのため、民間資本を国有、集団所有企業の再編・改造に導入し、株式参加、持ち株買収、売却、合併、リース、連結などの形を通じて国有や集団の企業に投資させ、混合所有制企業をつくりあげるのである。しかも、ほとんどの業界や企業において、民間資本が株式をコントロールする権利を持つことを認めるのである。国有資本の退出は、政府にとって、その限られた資金を集中し、外部投資効率の著しい公共部門や自然独占業種を設立して、国民経済の全体的体質と競争力を高めるのに役立つものである。
三、基盤産業や公用事業を福祉型、事業型から経済型、市場型に転換させる。「第10次5ヵ年計画」期には、交通、給水、港、汚水処理場および金融、保険、電気通信などの第三次産業の発展に力を入れるべきである。これらの産業の中には自然独占業種でなくなったものもあり、次第に外資に開放すると同時に、民間資本に開放する条件も整ってきている。したがって、基盤産業や公用事業の分野に、民間資本が参入する条件はすでに成熟している。民間投資を導入する場合、「充分な発展、公平な競争」という指導思想に基づいて、発展の比率や投資方式、投資規模などを制限するべきではない。政府は発展を急ぐインフラについて、連合経営や合作、株式制、プロジェクト融資などの形で民間資本が建設、経営に参加させてよい。それによって政府の財政負担を緩和させるとともに、民間投資者が政府の信用を借りて資金調達の条件を獲得でき、さらに何年が経ってから、政府はこの資金を上手に退出させて、資産の増加額を他の産業に投資できるようになる。また、民間資本がこれらの産業に進出することにより、本当の意味での競争メカニズムも導入され、市場経営の理念にしたがっての運営も促進される。
四、ハイテク産業に対する民間資本の直接投資を拡大
1、市場の展望が明るい、技術が高度なもので、経済利益が顕著な民間ハイテク企業への貸付けを奨励する。創業初期において、民間ハイテク企業向けの担保基金、科学技術互助基金などを設立し、民間ハイテク企業の資金不足の問題を解決する。
2、自主的知的所有権とブランドの強みを有する民間ハイテク企業に対して、無形資産による抵当の融資や上場融資(特則店頭、ハイテク株が集中する新興株式市場のこと)、債券発行の面で優先的にサポートを与える。民間ハイテク企業によって再編された国有企業、集団所有企業に対して引き続き国有、集団所有企業の待遇を与え、民間ハイテク企業の開発費用によって税金を相殺し、再投資に対する税金払い戻し、輸出融資などの面でも国有企業や外資企業と同じ待遇を与える。
3、民間ハイテク企業をハイテク産業発展の全般的計画に組み入れ、急速に発展させることを必要とするハイテクプロジェクトの中から、技術的に成熟し、展望の明るいものを選んで、民間資本の投入を導く。
「チャイナネット」2001年3月23日