東京大学の和田春樹名誉教授と隅谷三喜男名誉教授らは25日、記者会見を開き、「新しい歴史教科書をつくる会」が主導で執筆した中学歴史教科書について、誤りが51カ所あると指摘し、出版元の扶桑社と文部科学省に修正を求める考えを明らかにした。
説明によると、太平洋戦争の項で、日本政府は「日本の戦争目的は、自存自衛とアジアを欧米の支配から解放すること」「大東亜共栄圏を建設すること」と宣言したと記述されている点をあげ、「日本政府が開戦時に出した詔書、勅語では、戦争目的がアジアを欧米の統治下から開放するという文言はない」と指摘し、誤りであるとした。
また、有色人種である日本が白人の帝国であるロシアに勝利し、圧迫下にあった世界の民族に独立という無限の希望を与えたという日露戦争に関する項について、「一方的なもので、公平さに欠ける。日本の勝利は朝鮮民族が独立を失ったことを意味する」と指摘。このほか年代や地図の表記にも明らかな誤りが多くあるという。
報道によると、政府の検定に合格した教科書に明らかな誤りが見つかった場合は、通常出版社に修正を求めるが、解釈の相違により記述が不適当とされた場合には修正はしないとの見解を文部科学省は示している。
「人民網日本語版」2001年4月26日