「中日友情のかけ橋」
――中国社会科学院日本研究所創立20周年を記念

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　郭素萍

新しい世紀の最初の春に、中国社会科学院日本研究所は20歳の誕生日を迎えることになった。中国社会科学院日本研究所創立20周年記念大会と学術シンポジウムが４月27日、北京で開かれ、中国社会科学院の李鉄映院長は同研究所のために「中日友情のかけ橋」という題字をしたためた。中国駐在日本大使館の隈丸優次公使が祝賀に来て、心あたたまるあいさつを述べた。外交部、中国社会科学院、中央党学校、北京大学、中国共産党中央対外連絡部、中国国際友好連絡会および日本研究に従事している各学術機構の責任者、専門家、学者がこの記念大会と学術シンポジウムに参加した。

大会に参加した専門家は中国の日本に対する研究について十分に総括を行い、現在の日本研究の新しい動きを分析し、同時に研究のなかでのいたらない点を反省した。学者たちは、日本に現れている新たな情況、新たな問題、政局の動揺、長期間経済の不景気から脱却することができないことを鋭く考察し、日本に対する研究は、日本の歴史、政治、経済を総合するだけでなく、文化、伝統、心理と結びつけ、特に社会思潮の変化に注目しなければならないと、した。教科書問題から李登輝の訪日および小泉首相の公的身分で靖国神社参拝に至るまでの事柄は右翼思潮の氾濫の結果でないものはひとつもない。専門家たちは、日本に対する研究は任重くして、道まだ遠し、であると語った。

20年来、研究所は、基礎理論、実際応用、戦略的対策などの面で現代日本の政治、経済、社会、文化、対外関係などに対し全方位の深く掘り下げた研究を行い、社会科学院と研究所の各項目の科学研究計画および国の関係部門が委託し、国外の学術機構と協力して進められている科学研究課題をよく完成し、かなり豊かな成果をあげた。統計によると、研究所創立以来、完成した科学研究成果はあわせて5600余万字、そのうち専門的な著作、学術論文、研究報告などは4300万字、翻訳などは1300余万字であった。

研究所創立後の20年間に、世界は大きな転換と激動の時代にあり、中国の改革・開放は輝かしい成果をあげ、国際情勢には冷戦時代からポスト冷戦時代に入る重大な転換を起こり、日本も高度成長の時代から全面的な改革時代に入った。このような大きな発展と変化に直面して、研究所は日本研究と中日関係研究の面で注目される多くの成果をあげた。すぐれた成果で中国の改革・開放と現代化に奉仕し、中日関係を良好な発展のために貢献した。研究所は、深く掘り下げた研究で国内の日本研究界でしかるべき地位を確立し、同時に活発で効果的な学術交流で絶えず対外的影響を拡大している。

歴史を顧みて、日本研究所の高増傑副所長は、中国共産党中央は一貫して日本に対する研究を非常に重視し、1964年に、中央は日本に対する研究を強化し、また前後して各地に多くの研究機構を設立することになったが、「文化大革命」によってすべての学術研究が停滞状態に陥込んだ。中国共産党第11期全国代表大会第３回中央委員会総会以後、中央は、日本が近隣であり、日本研究が非常に重要な意義があることを再び提起した。改革・開放の新たな局面に直面して、中国はかなり安定した周辺環境を必要としている。日本は中国の近隣の資本主義国であり、中国は十分な重視を与えるべきである。この背景の下で、そのときの中国社会科学院は、多くの国際問題を研究する研究機構を設立したが、それはアジア太平洋研究所、ラテンアメリカ研究所などの地域的な研究所であり、一つの国を主とする研究所は1981年前後に設立されたアメリカ研究所と日本研究所しかなかった。

日本研究所設立後、研究方向の上で次のような変化を経てきた。

１、 中国共産党第11期全国代表大会第３回総会以後、全党の活動の中心は経済に移され、中華民族を振興することが全国、全党、全国人民の共通の要請となった。人々が戦後の日本経済の高度成長の奇跡の原因を知りたがっていたことは、その時のかなり濃厚な社会的雰囲気であった。そのため、1980年代初期、日本研究所は主に日本経済の高度成長と日本経済そのものの発展のメカニズム、条件、内在する要因など各方面の問題を研究した。1980年代中期以後、大きな変化が生じて、日本をエコノミック・アニマルのみと見して、単に経済の角度から日本を研究するやり方を変えた。人々は共通認識に達し、つまり、単に日本経済を研究することではもはや日本問題を解決することができず、日本の社会、伝統、文化など深層の問題を研究する必要がある、とみるに至った。1983年に日本研究所はまず最初の日本社会文化研究室を設置し、1988年までにすでに初歩的な規模を備えるようになり、日本文化研究の基本的な枠組みを確立した。

２、1990年代初期には、日本文化に対する研究の深化につれて、研究員たちは、日本研究は対象国を研究するだけではなく、日本を世界の枠組みの環境のなかに置いて考察、分析しなければならないということになった。そのため、多くの研究員は、世界の枠組み、東アジア地域の角度から日本を研究し、研究は前へと大きく一歩邁進した。

３、 日本研究所は学科建設の上で、日本に対する全方位の、総合的な考察と研究を重視し、日本の政治、経済、文化、社会の各方面からかなり系統的に、深く掘り下げた研究を行い、同時に新たな学科を開設した。例えば、国際政治思想についての研究など、がそれである。日本の伝統と日本の19世紀中期以後の国際戦略の変化を通じて、日本の対外政策を知り、中日関係の発展を研究し、中日関係の健全な発展を促す、ということ。

４、 中日関係が絶えず発展するにつれて、経済貿易関係は日増しに密接になり、政治面で、中日双方は健全な関係を樹立することを望むようになったが、同時にさまざまな問題が絶えず現れている。中日両国間の経済・貿易、政治およびその他の分野のいろいろな協力を促進するために、中日両国の間では健全な国家関係を樹立しなければならないのである。現在、現れた問題は恐ろしいものではなく、問題はどのように対処するかのである。これはまさに研究の度合いを大きくする内容である。

李鉄映院長は日本研究所設立20周年のために「中日友情のかけ橋」という題字をしたためた。これは、日本研究所の20年の仕事を十分に肯定したものであり、日本研究所の今後の仕事に対する期待でもあり、つまり、日本研究所が中日両国人民の相互理解を促進し、中日友好関係を発展させるために、重要なかけ橋の役割を果たすことを望んでいるということである。

「チャイナネット」2001/05/14