許嘉璐副委員長に聞く
 

3月5日と3月3日に開催された第9期全国人民代表大会第5回会議と第9期全国政治協商会議第5回会議はメディアと人びとの関心の的となっている。「二つ会議」開催の前夜、許嘉璐全国人民代表大会副委員長、中国民主促進会中央主席は多忙の中チャイナネットのインタビューを受けた。

――第9期全国人民代表大会について

今年は第9期全国人民代表大会にとって最後の全体会議である。第9期全国人民代表大会の4年間にわたる活動を振り返って、許嘉璐副委員長は、これまでの人民代表大会と比べて、第9期人民代表大会の活動には大きな進展が見られると語り、第9期人民代表大会の活動には次の四つの特徴があると語った。

一は、法律制定の質が向上したこと。なぜかというと、今期人民代表大会は調査・研究と審議の過程に対して改革を行った。法律が審議に提出されると同時に各方面からの意見を厳しく求めなければならない。とくに広範な大衆と関わりのある法律に対して、国民のみなさんの意見を聴取し、民主的な法律制定を存分に具現し、民主を存分に発揚しなければならない。

一つの法律が公布される前に、まず人民代表大会代表が「立案するかどうか」について検討する。立案が計画に取り入れられて起草が始まり、起草のある段階になると、人民代表大会の代表が意見を幅広く聴取し、調査・研究を幅広く行う。専門家と実務従事者、裁判所関係者の意見を聴取し、それをふまえて枠組みをつくる。起草から提出までに人民代表大会常務委員会は何回もの調査・研究を繰り返し、多くの部門と検討しなければならない。一定の時期になると各省の人民代表大会委員会もそれに参与する。

二は、民主的な法律制定の原則を貫き、強化したこと。人民代表大会代表が意見を幅広く聴取し、調査・研究を幅広く行い、国民全体の利益に立脚し、民主を存分に発揚し、民主的な法律制定を具現しているのが中国の特色である。「婚姻法」と「村民委員会組織法」の改正はメディアを通しての幅広い検討をおこなうことを基礎として採択されたものである。

三は、法によって国を治めることが理論上においても実践上においても強化された。中国共産党は中国の与党であるが、法によって国を治めなければならず、与党が1つの決定をおこなうかまたは党の指導者がなにかを話したとしても、それが法律になることはない。概括して言えば、党の意志も民主的プロセスによって法律として制定され、国の意志になる。党の指導と人民代表の関係は党の指導を強化するうえで民主をフルに発揮することである。中国共産党は与党として、法律の範囲内で活動する。

四は、人民代表大会の監督機能を強化したこと。「監督は人民代表大会の重要な機能の一つであるが、比較的に薄弱な一環でもある。喜び安心しなければならないのは、人民代表大会の監督機能が第9期人民代表大会の期間にさらに前進したことである。いくつかの例によって人民代表大会の監督活動の強化を証明することができる。

まず、国務院と地方政府に対する監督の面において、人民代表大会は予算に対する監督を強化している。2000年に「予算法」が制定、公布された後、国家発展計画委員会が人民代表大会に提出した予算はあいまいな文書ではなくなり、かえって各科目に至るまで細分されている。「予算法」に基づいて、発展計画委員会は毎年11月の前に、翌年の各科目を確認して人民代表大会に提出し、人民代表大会がそれぞれのプロジェクトを厳しく審査する。予算の審査を担当する機構は人民代表大会予算委員会と人民代表大会常務委員会である。

次に、人民代表大会の法院と検察院に対する監督である。最近、人民代表大会は重大な案件への監督に関する法規を制定した。この法規に基づいて、人民代表大会は重要で、影響の大きな案件に必ず関与し、書類を取り寄せ、それによって法律制定部門の案件に対する監督の役割を果たす。

三、地方政府の関係者に対する監督である。地方政府の関係者による職務報告について、地方人民代表大会は採点や投票のやり方を採用するなど異なった試みをおこなっている。

第四、「監督法」の起草は完了したが、なおすり合わせを必要とする。

われわれの監督はまだ足りず、さらに強化するべきである。しかし、どのように強化するか。人民代表大会の監督は政党内の規律検査に取って代わることはできず、政府の監察部に取って代わることはできず、マスメディアによる監督、大衆の世論による監督に取って代わることはできない。それは法による監督であるべきである。どのようにして中国の国情に適合した制度を模索するか。それにはプロセスを必要としている。現在、人びとは人民代表大会の監督に不満をもっているが、これはわれわれの仕事をさらに強化しなければならないことを示すものである。

――中国民主促進会について

許嘉璐副委員長にインタビューするからには、中国民主促進会の近況を聞くのは当然のことである。氏は中国民主促進会中央の主席である。中国民主促進会の話になると、許嘉璐副委員長はまるで我が家のことのようにすらすらとよどみなく語った。特に中国民主促進会の「旧陣地強化、新陣地開発」(既存の活動の分野をうち固め、新しい活動分野を切り開く)という漢字の「十文字方針」に言及した。歴史的経緯で、中国民主促進会の政治参与と政治討議の仕事は長年来主に文化、教育、科学技術分野に集中するものであった。しかし、新しい時期の到来にともなって、国は建設を中心とする方針を実行し、中国民主促進会は文化、出版、教育などの分野において役割を果たしているほか、工業、農業などその他の分野にも進出している。さいきん、中国民主促進会、科学技術部、農業部が共同で主宰した「農村の若者向けの科学技術養成プロジェクト」は中国民主促進会の新しい活動の一つである。

中国民主促進会はかつて党中央と国務院に「持続可能な発展」の中に「資源の合理的な開発と使用」に付け加えるべきであるという提案を打ち出した。この提案は1999年に開催された全国人民代表大会と全国政治協商会議で採択された。今年、中国民主促進会は「生態保護」には森林の環境保護、海洋の環境保護を含むだけでなく、さらに湿地の環境保護をも含むべきであるという提案を出した。

農村、農業、農民はこれまでずっと民主諸党派の関心の重点である。最近、中国民主促進会は科学技術部と協力しての「火花計画を西部へと延長する」プロジェクトをスタートさせ、6月に西安で経験シンポジウムを開催することになっている。実際は、計画のスタートの前に、中国民主促進会は陝西省の火花計画基地建設に協力した。それは今年正式に始動することになっている。

教育の面で、中国民主促進会の提案によって、貧困地区の子供たちは今年から無料で教科書を提供されることになる。一部の地区の中学校と小学校の教材も全面的に値段を引き下げることになった。

――「言語・文字法」について

許嘉璐副委員長は言語・文字研究の大家である。政治に参与すると同時に、中国語研究の教学に従事し、博士コース大学院生の指導教官でもある。そのため、氏は中国の最初の「言語・文字法」制定の主な提案者であり、法律制定作業のリーダーでもある。

人民代表大会代表として初めて「言語・文字法」の制定を提案することから「言語・文字法」を起草、実施に至るまで、中国語学の大学教授、国家言語文字工作委員会の主任であった許嘉璐副委員長は、これは国の文明、統一、繁栄、進歩に関わる大きな出来事であり、「非常に楽しい仕事である」とずっと見ている。

言語・文字は個人性と社会性の結合体である。交流の角度、団結促進の角度、経済促進の角度からみれば、社会の発展は統一した、規範化された言語・文字を必要している。一つの国は滞りのない道路、発達した交通、実力豊かな生産力、安定した国防がなければ、強国と称されることはできない。しかし、自らの文明がなければ、ただの富国であり、強国と称することはできない。

「言語・文字法」が制定、公布されてからの1年間を振り返って、許嘉璐副委員長はこう語る。「言語・文字法」の制定には1年かかった。現在の発展の状況はかなりよく、政府と一部の関係部門もそれ相応の措置を打ち出しており、それは主に次のような面に現われている。

一、標準語普及に力を入れていること。普及の活動は幼稚園、小学校、初級中学および教師陣から力を入れることになった。

二、公務員から力を入れなければならないこと。たとえば、公務員に対する募集・試験を行なう場合、必ず標準語が話せることが求められる。

三、サービス業とメディアに力を入れること。例えば、テレビなどのキャスターは必ず標準語等級試験に合格してこそはじめて仕事につけるということがその明らかな例である。

「言語・文字法」の実行と標準語の普及について、許嘉璐副委員長は楽観視している。経済の発展によって、全国に分布している7万8000人の出稼ぎ者は標準語を普及させる人となっている。例えば、広東、常熟、呉江、温州など方言がよく使われている地域では、地元の人たちの標準語のレベルも著しく向上した。方言が最もわかりにくい温州においても、10万もの人が標準語を使っている。その他、これまでの標準語をもっとも使いたがらなかった上海でも、今ではデパートの店員たちが標準語を話すような好ましい状態になっている。

「言語・文字法」は「ソフトな法律」と言う人もいる。「言語文字法」を実施する場合どのような「ハードな」措置があるか。

言語と文字は一種の習慣であるから、懲罰することはできない。しかし、言語と文字を規範化する面で、政府と関係部門は依然として一部の措置をとっている。例えば、現在、出版されている書籍や雑誌は誤字や当て字がよく目につくが、国家新聞出版総署の規定に基づいて、誤字と当て字の数が一万分の一を超える出版物は三つの図書賞の評定に参加できないことになっている。また、パソコンソフトの文字データベース、市場における言語・文字関係の製品も必ず国家言語文字工作委員会などの権限のある機構の審査にパスしなければならない。不合格品は発売できない。また強制的規定がひとつある。標準語のテストに合格していない師範大学の卒業生には卒業証明書を発給せず、仕事についてから1年後に必ず標準語の審査に合格してはじめて卒業証書を受け取ることができるのである。そのほか、各地方の言語文字工作委員会は商店などの看板にもハードな措置をとっている、厦門(アモイ)のケースが良い例である。数年前、厦門を訪れた時、どこに行っても旧い繁体字が目についた。今年私は福州や厦門に出張したが、99%の看板や企業の文字が規範化されていた。    

許嘉璐副委員長は関連部門と企業が「南部の方言地域」で何回かの標準語コンクールを開催することも助成している。これらの地域には広東地方方言区、福建南部方言区、客家(福建にある)方言区が含まれる。氏はこの何回かのコンクールは標準語の中国南部における普及に極めて大きな促進的役割を果たすことになろうと見ている。

「チャイナネット」2002/03/10

 

 
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