立法法が公布されるまで、国務院の立法範囲は主に憲法およびその他の憲法的法律によって確定される国務院の職権によって決められていたのである。憲法第89条は国務院が行使する18項の職権を確定し、地方組織法は国務院が一定の立法監督権を行使することを規定した。必要に応じて職権内で国務院は行政法規の制定などの形を通して関連事項の立法的調整を実施することができる。これらの職権は①行政措置を規定し、行政法規を制定、改正する。決定と命令を公布し、一定の立法監督権を行使する②各部・委員会の任務と職権を規定し、各部・委員会と地方の各クラスの国家行政機関の執務を統一的に指導する。全国的な行政活動を指導し、中央と省クラスの国家行政機関の職権の具体的区分を規定する。行政機構の編成や行政メンバーの任免、育成、考査、賞罰を規定する。③国民経済・社会発展計画と国家予算を編成し、執行する。④経済と都市部の建設を指導し、管理する⑤教育、科学、文化、医療衛生、スポーツ、計画出産を指導し、管理する。⑥民政、公安、司法行政と監察の仕事を指導し、管理する。⑦対外事務、外国と条約・協定を締結することを管理する。⑧国防建設事業を指導し、管理する。一部の地域の戒厳を決定する。⑨民族事務を指導し、管理する。少数民族の平等な権利と民族自治地方の自治権利を保障する。華僑の正当な権利と利益を保護し、帰国華僑と国内在住その家族の合法的権利と利益を保護する⑩省クラスの区域の画定や自治州、自治県・市の設置と区域の画定を批准する。⑪全人代およびその常務委員会が授権した他の職権――などが含まれる。
立法法の公布によって、全人代およびその常務委員会の立法範囲が明確にされると同時に、国務院の立法範囲もかなり明確にされた。立法法第56条は国務院が憲法と法律に基づいて行政法規を制定することを規定している。行政法規は次の事項について規定することができる。法律の規定を執行するため、行政法規を制定する必要がある事項。憲法第89条に規定された行政管理職権の事項。立法法第9条の規定により、全人代およびその常務委員会が制定するべき法律がまだ制定されていない場合、全人代およびその常務委員会が国務院に授権し実情に応じて一部の事項に対して行政法規を制定することを決める権限がある。ここで言う「一部の事項」は犯罪、刑罰、公民の政治権利を剥奪し、人身自由を制限する強制的措置と処罰、司法制度を除いた事項のことを指す。
立法法の直接および専門的な規定は国務院の立法範囲に対して明確に確定した。憲法およびその他の憲法的法律の間接規定は国務院の立法範囲に対しての明示された確定である。両者はマクロとミクロを結びつけて、国務院の立法にその範囲を定めた。