国務院における立法は中国の最高国家行政機関すなわち中央政府が法によって行政法規の制定、変更および国の立法活動および他の立法活動に参与することの総称である。
国務院における立法は主に以下の特徴を持つ。
第一、
国務院の立法は全人代およびその常務委員会の立法に従属する。国務院の立法は全人代およびその常務委員会の憲法、法律と他の規範的法律文書を貫徹することを基本的任務あるいは職能とする。国務院の立法は憲法と法律をよりどころとしてそれと抵触するものであってはならない。一方、国務院は最高の国家行政機関として、中国の行政を統一的に指導し、管理する責任を持っている。全国の行政に対して主導的なものである。国務院の立法は地方の立法、とくに地方的法規や地方の政府規則を制定する立法活動にとって主導的なものである。地方的法規と地方の政府規則は国務院の行政法規と抵触するものであってはならない。
第二、
12億の人口を持つ国の最高国家行政機関として、行政管理の範囲が極めて広い。それ相応に、国務院の立法の調整できる範囲は全人代およびその常務委員会における立法や地方の立法の調整できる範囲よりはるかに広い。立法作業も非常にきつい。国務院の立法は憲法と法律を貫徹、実施する使命、全人代および常務委員会に法律案を提出する使命、全人代およびその常務委員会に授与された立法の権限を受け入れて随時に特定の立法作業を完成する使命、地方の立法に立法のよりどころを提供する使命がある。中国の立法システムで国務院の立法の任務がもっとも重い。
第三、
国務院は行政法規を制定し、変更し、国家立法すなわち国の立法機関に法律案を提出することに参与し、国の立法機関が授権した立法作業を完成し、行政規則が適切であるかどうかを監督する。これは中国の立法システムでもっとも多種多様な立法である。国務院は行政法規を制定することはある程度において将来に関連のある法律の制定のために経験を蓄積し、条件を整えるものである。国務院の立法は制約を受けていることは非常にはっきりしている。国務院は最高の国家権力機関の執行機関として、その立法活動は最高の国家権力機関に責任を負い、後者に制約される。国務院の行政法規は憲法と法律に基づいて制定され、後者がなければ、前者もないはずである。国務院は全人代およびその常務委員会の授権によって立法活動を行い、その権限は授権者によって与えられたものであるゆえ、授権者に制約される。国務院の立法の重要な目的は憲法と法律を貫徹し、実施することである。これは制約される原因の一つでもある。