中国の司法体制と制度は、社会主義民主政治制度の重要な構成部分である。長年来、中国はたえず司法体制と活動メカニズムを構築、整備し、司法民主建設を強化し、公正な司法を通じて公民と法人の合法的権益を保障し、社会の公平と正義を実現させるように努めている。
中国は人民代表大会の下に専門の裁判機関と検察機関を設立し、裁判機関と検察機関を分離する司法体制を実行している。この司法体制は人民が主人公になる社会主義制度の性質を体現し、同時に他国の司法体制建設の経験をも参考にしている。中国の司法機関は事実を根拠とし、法律を準縄として、厳格に法によって違法犯罪を処罰し、公民の合法的権益を保障している。
中国の憲法と法律は、人民法院、人民検察院は法によって独立して裁判権と検察権を行使し、人民代表大会に対し責任を負い、人民代表大会の監督を受けるが、行政機関、社会団体、個人の干渉を受けない、司法機関は法定の職権範囲内で独立して活動を行う、司法機関が法により独立して裁判権と検察権を行使することに干渉するいかなる行為も、憲法と法律に違反するものであると規定している。これに基づいて、中国は法院が法により独立して裁判権を行使し、民事・行政・刑事審判を行う制度、検察院が法により独立して検察権を行使し、逮捕許可、公訴提起、控訴、法律実施監督を行う制度を確立した。
人民法院は国の裁判機関として、司法の公正を裁判の宗旨とし、独立して裁判を行う原則にのっとって裁判制度を改革、整備し、裁判活動を通じて犯罪を懲罰し、人民を保護する。刑事裁判では弁護制度を採用し、証拠を重視し、自供を軽信せず、被告の権利を保護するように気を配る。民事裁判では、当事者の権利を保護するように気を配り、公民の民主的権利行使、当事者の民事権利実現のために司法保障を提供する。行政裁判では公民の合法的権利が行政機関の違法行為に侵害されないように保護する。2004年、全国の各クラス地方法院は法によって、刑事案件64万4248件、民事案件430万3744件、行政案件9万2192件の第一審の審理を行った。全国の法院は裁判に確かに誤りがある案件1万6967件の判決をくつがえしたが、年間の効力の発生した判決総数に占める比率は0.34%であった。ここ数年来、人民法院は訴訟プロセスをたえず整備し、公民と法人の合法的権益を保障し、執行が難しいという問題を着実に解決している。
中国の裁判機関は、最高人民法院、地方各クラス人民法院および軍事法院などの専門人民法院があり、2004年末現在の全国の各クラス人民法院と専門人民法院は3548あり、裁判官は19万627人に達している。
人民検察院は国の法律監督機関として、法によって刑事犯罪に打撃を与え、国家公務員の汚職、賄賂、職などの職務犯罪を取り調べ、処分する職責を担うとともに、法によって訴訟活動に対する法律監督の職責を履行し、司法の公正と法制の統一を擁護している。刑事訴訟に対する法律監督では、立件監督、捜査監督、裁判監督、刑罰執行監督を全面的に実施し、あくまで犯罪懲罰と人権保障を同様に重視している。民事訴訟と行政訴訟に対する監督では、訴訟主体の合法的権益を平等に保護し、法的手続きにひどく違反し、法を曲げて賄賂を働き、実情のために不正を働いて不公平な裁判を招く案件を重点的に監督する。ここ数年来、検察機関は検察活動を全面的に公開し、訴訟参与者権利義務告知制度、事件不起訴、刑事告訴、民事・行政控訴案件の公開審査制度を確立し、弁護士が刑事訴訟で法によって職務を履行する活動メカニズムを構築して、司法の公正を確実に保障している。2004年、検察機関が法によって逮捕すべきでない容疑者に対し逮捕不許可の決定を行った人数は6万8676人、不起訴の決定を行った人数は2万6994人、捜査機関が立件すべきでないのに立件した案件を更正した件数は2699件、控訴を裁定した刑事判決は3063件、控訴を裁定した民事行政判決は1万3218件、再審を提案した件数は4333件、立件して再審する刑事控訴案件は5569件、元処理決定を変えた件数は786件であった。
中国の検察機関は最高人民検察院、地方各クラス人民検察院および軍事検察院などの専門人民検察院があり、2004年末現在の各クラス人民検察院は363あり、検察官は14万77人に達している。
中国の司法は制度と手続上、法律の前ですべての人が平等である、法によって罪を定めるなどの原則を堅持し、審理等級制度、回避制度、公開審理制度、人民陪審員制度、人民監督員制度、弁護士制度、法律援助制度、人民調停制度などの実行を通じて、司法の公正を擁護し、実現させ、人民の民主的権利と公民の合法的権益を保障している。
――公開裁判制度。中国の憲法と関係法律は人民法院の公開裁判制度を規定している。ここ数年来、最高人民法院は各クラスの法院が厳格に法によって公開裁判を行い、開廷、証拠提出、証拠調べ、判決を公開して行うように要求している。各クラスの法院は公開裁判制度をさらに強化し、公開審理すべきでないと法律の定めたものを除き、すべて公開審理を行っている。公開審理する案件は事前に公告し、普通の公民と新聞記者が審理を傍聴するのを認めている。人民法院はまた自ら進んで人民代表大会代表と政治協商会議委員を公開審理の傍聴に招き、人民代表大会代表の司法監督活動と政治協商委員の司法考察活動を保障している。
――人民陪審員制度。新中国の成立初期、国は関係法律の中で人民陪審員制度を規定している。その後、人民法院組織法などの法律は全面的に人民陪審員制度を規定している。2004年8月、全国人民代表大会常務委員会は「人民陪審員制度の整備に関する決定」を可決し、陪審員が裁判に参加する範囲、陪審員の資格、選出、権利と義務などについていちだんと明確な規定を行った。法律と関係規定に基づいて、人民法院は真剣に人民陪審員制度を実行し、司法活動に対する人民大衆の直接参与と監督を確保している。
――人民監督員制度。人民監督員制度を実行し、検察活動を人民大衆の効果的監督の下に置くことは、訴訟民主の要求を体現している。2003年10月から、中国の検察機関は全国の10省(自治区、直轄市)で人民監督員制度の試行を始めた。その後、この改革措置は全国の86%の検察院に拡大された。人民監督員は機関、団体、企業・事業体の推薦で選出され、その主な職責は、検察機関が直接立件して取り調べる案件の中の撤回、不起訴処理の案件および犯罪容疑者が逮捕決定に服しない案件に対し独立して評議し、監督意見を提出することである。同時に招きに応じて人民検察院が職務犯罪案件を取り調べる活動のその他の執法検査活動に参加することもでき、法律・法規違反問題を発見した場合、処理の提案と意見を提出することができる。2004年末現在、全国に人民監督員が1万8962人おり、彼らの監督の下で3341件の案件を結了した。
――弁護士制度。1996年に公布した弁護士法は中国の特色をもつ弁護士制度の基本的枠組みを確立し、司法、行政およびその他の社会活動の面における弁護士の権利と義務について規定を行っている。2004年末現在、中国に業務に従事している弁護士が11万8000人余りおり、弁護士事務所が1万1691ある。弁護士事務所も国有事務所だけの状態から共同経営事務所、国有事務所、合作事務所など多種類の弁護士事務所が同時に存在するまでに発展し、共同経営事務所が総数の68.6%を占めている。また17カ国の148の弁護士事務所の中国駐在事務所が中国国内の営業を認められ、香港特別区も大陸部に48の弁護士事務所を設けている。2004年、全国の弁護士は訴訟案件を150余万件、非訴訟法律事務を80余万件処理した。弁護士制度の確立と健全化により、弁護士は効果的に法律手段を運用して、当事者の合法的権益と法律の正しい実施を維持し、社会の公平と正義を擁護することができるようになった。
――法律援助制度。法律援助は困難のある人たちの合法的権益を保障し、司法の公正を実現させる重要な措置である。中国は1994年から中国の特色をもつ法律援助制度の確立を模索し始めた。刑事訴訟法、弁護士法などの法律に法律援助制度の地位についての規定がある。2003年9月から実施した「法律援助条例」は、法律援助制度の基本的な枠組みを明確にしている。2004年末現在、全国各地に政府の法律援助機構が3023設立され、そのうちの2628の機構が県・区クラスの地方にあり、縦向きは農村に至り、横向きは基本的に各種の困難のある人たちをカバーする法律援助機構ネットワークを初歩的に形成している。全国に法律援助専従者が1万458人おり、そのうちの4768人は職業弁護士である。各クラス政府の財政が法律援助に支出する経費は1999年の1869万元から2004年の2億1712万元へと逐年増加し、年伸び率は212%に達した。現在、中央と省クラス財政の貧困地区の法律援助に対する移転支払い制度が確立されつつある。10年来、全国各地の法律援助機構は弁護士、末端の法律活動関係者、ボランティアを組織して各種の法律援助案件を合わせて110余万件処理し、160余万人に法律援助を提供した。ここ数年来、多くの社会団体、民間組織、法科大学は法律援助活動に参与した。
――人民調停制度。人民調停とは、法によって設立した人民調停委員会の主宰の下で、トラブル当事者の自由意志を基礎とし、国の法律、法規、規則、政策と社会公徳を根拠とし、道理を十分に説き、辛抱強く導くことを通じて、わだかまりをなくし、当事者が紛争解決に合意するように助けることを指す。現在、全国に人民調停委員会が86万余り設立され、人民調停員が660万人にのぼり、年平均各種の民間紛争を約600万件調停し、調停の成功率は95%以上に達している。
法によって国を治め、社会主義の調和のとれた社会を構築する要求にいちだんと適応するため、中国はいま司法の公正をはかり、厳格に法律を執行する要求に基づいて、司法機関の機構設立、職権画分、管理制度を整備し、権利と責任が明確で、互いに協力、制約しあい、高効率に運営する司法システムをいちだんと健全にし、制度の面から裁判機関と検察機関が法により独立して公正に裁判権と検察権を行使するのを保障し、よりよく司法の権威を擁護し、人民大衆の民主的権利と合法的権益を保護し、社会の公平と正義を守っている。
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