中国の民主政治建設

七、人権の尊重と保障


2004年3月、第10期全国人民代表大会第2回会議は憲法改正案を審議、可決し、「国家は人権を尊重、保障する」を憲法に書き入れ、中国の人権事業発展の新しい一ページを開いた。

人権を尊重、保障し、公民が法に依って広範な権利と自由を享有するのを保証することは社会主義民主を発展させる内在的要求である。社会主義民主とは、国のすべての権力は人民に属し、人民は憲法と法律の定めた公民の権利を確実に享有することである。中国の社会主義民主は公民の諸権利が保障され、たえず発展する基礎の上で実行される民主である。

中国共産党は中国人民の根本的利益の忠実な代表として、終始国家の主権と独立を守り、人民の諸権利を保障し、発展させることを根本的任務とするとともに、生存権、発展権を最も重要な人権としている。中国共産党は発展を最も重要な任務とし、人を本とする全面的、協調的、持続可能な科学的発展観を貫徹することを堅持し、経済発展と社会進歩を促進するように努め、人民の多方面の必要をたえず満たし、人の全面的な発展を実現させるようにしている。

中国憲法は公民の基本的権利と自由を全面的に規定している。憲法を根拠として、中国は一連の人権保障の法律を制定し、わりに整った人権保障の法律制度をつくり上げた。建国後50余年の経済・社会発展の成果を基礎に、中国人民はこれまでなかった全面的、真実で十分な人権を享有している。

――人民の生存権と発展権は保障されている。中国共産党は経済建設を中心とすることを堅持し、人民の生存権と発展権を解決する面で大きな努力を払っている。50余年にわたる奮闘を経て、人民生活は貧困から衣食足りる状態へ、さらに衣食足りる状態からいくらかゆとりのある生活へと二回の歴史的飛躍を基本的に実現させた。中国は世界の10%足らずの耕地で世界人口の22%を占める人口の衣食問題を成功裏に解決した。1979年から2004年にかけて、中国経済は連続して快速な成長をとげ、国内総生産(GDP)は1473億ドルから1兆6500億ドルに増加し、一人当たりは1200ドルを突破した。都市・農村住民の年平均所得は、都市部では4.5倍、農村は4.9倍実質的に増加した。一人当たりの住宅面積は、都市部では6.7平方メートルから25平方メートルに、農村では8.1平方メートルから28平方メートルに増えた。農村の貧困人口は2億5000万から2610万に減少した。中国人の健康レベルは全体として中等所得国の平均水準を上回り、発展途上国の上位にランクされている。平均寿命は新中国成立前の35歳から2004年の72歳前後に延び、妊産婦の死亡率は新中国成立前の10万分の1500から2004年の10万分の48.3に下がり、嬰児の死亡率は新中国成立前の20%から2004年の2.15%に下がった。ここ数年来、中国政府は「国家公共衛生観測情報システム建設企画」、「突発的公衆衛生事件の救助治療システム建設企画」など一連の法規と措置を公布、実施し、公民の健康権・生命権保護を強化した。

――公民の権利と政治的権利は保障されている。中国の憲法と法律は公民の宗教信仰自由、言論出版自由、結社自由などの権利を保護し、公民の財産権、名誉権、姓名権、栄誉権、人格尊厳権、人身住宅不可侵権などを確認、保護している。公民に事情了解権、監督権、公共事務管理参与権などの民主的権利を十分に享有させるため、中国は情報公開などの関係制度をたえず確立し、健全にしている。国は報道出版事業の発展を積極的に奨励しており、2004年に出版、発行した全国紙と省クラスの新聞は257億7000万部、各種の定期刊行物は26億9000万冊(枚)、図書は64億4000万冊に達した。ここ数年来、中国のインターネットは急速な発展をとげ、2005年6月30日現在、ネットのユーザー総数は1億を上回り、そのうち、ブロードバンドのユーザー数は5300万人に達している。国は公民の宗教信仰自由を尊重、保障し、法によって宗教を信仰する公民、宗教団体、宗教活動の場所の合法的権益を侵害されないように保障している。おおまかな統計によれば、現在中国に各種の宗教信者が1億人余り、各種の宗教神職者が約30万人おり、宗教活動の場所が10万カ所余りある。国は「社会団体登録管理条例」、「民間非企業機構登録管理暫定条例」と「基金会管理条例」を制定し、法によって公民の結社自由を保障している。2004年末現在、中国に各種の民間組織が28万9000あり、そのうち、社会団体は15万3000、企業以外の民間機構は13万5000、基金会は約900ある。

――経済、社会、文化の権利は保障されている。中国の憲法と法律・法規は公民の労働権、休息権、男女平等権、男女同一労働同一報酬権、知的所有権、社会保障権、物質的援助獲得権、教育獲得権、結婚・離婚自由権および科学研究、文学芸術とその他の文化活動に従事、参加する権利などに対し、全面的な規定を行っている。ここ数年来、国は各種の措置をとって就業と再就業問題の解決に力を入れ、社会保障制度の確立を急ぎ、教育、科学技術、文化、医療・衛生などの社会事業に対する支持を強化して、公民に経済、社会、文化の権利を実際に享有させるようにしている。2004年末現在、全国の都市部で、養老保険、失業保険、医療保険、労働災害保険の加入者数はそれぞれ1億6400万人、1億600万人、1億2400万人、6845万人に達し、それぞれ前年末より847万人、211万人、1502万人、2270万人増えた。農村の社会養老保険加入者数は5378万人に達し、わりに速い発展の態勢を呈している。全国では2205万人の都市部住民が政府の最低生活保障を受けている。中国は9年制義務教育の普及、青壮年の非識字者一掃を基本的に達成した。2004年、中央政府が農村の義務教育に用いた各種の特別資金は前年より70%増の100余億元に達し、全国の各種大学の在学生数は2000万人を上回り、大学の純入学率は19%に達した。2004年末現在、全国に放送局が282局あり、人口カバー率は94.1%に達し、テレビ局が314局あり、人口カバー率は95.3%に達した。国は農村就労者の合法的権益保護をたえず強化するとともに、建築分野の工事費滞納や都市へ行って就労する農民の賃金滞配問題を全面的に整理、解決するため、2004年に「建設分野の農村就労者の賃金給付管理暫定規則」を制定した。

――婦人、老人、未成年者など特殊な人たちおよび身障者など弱体の人たちの合法的権利は保障されている。中国は婦人権益保障法、老人権益保障法、未成年者保護法、身体障害者保障法を制定し、婦人、老人、未成年者など特殊な人たちおよび身障者など弱体の人たちの保護について特別な規定を行っている。中国では、婦人の国家事務に参与する権利は保障されている。1975年の第四期から2003年の第10期までの全国人民代表大会の代表に占める女性の比率はいずれも20%を上回っている。現在、婦人の就業人数、労働報酬、教育レベルは男性とほぼ同じである。中国はすでに高齢化社会に入っており、老人は政府と社会各方面の特殊な配慮を受けている。2004年、全国の企業が定年退職者に基本的養老年金を3031億元支給し、中央財政は522億元を補助した。中国は総人口の四分の一を上回る3億7600万の18歳以下の未成年者を抱えている。健康、教育、法的保護、環境などの方面から児童の発展を促進するため、中国政府は1992年と2001年に前後して「九〇年代中国児童発展計画綱要」と「中国児童発展綱要(2001-2010年)」を制定した。中国に身体障害者が6000万人おり、その人数は中等国の人数に相当する。2004年、身障者の就業率は80%に達し、330余万の身障者は程度の差こそあれリハビリを得ている。

――少数民族の権利は保障されている。中国では、各少数民族は漢族と同じように憲法と法律の定めたすべての公民の権利を平等に享有し、国家の大事と各クラスの地方事務の管理に平等に参与している。少数民族の権利は法律と関係政策の特殊な保障を受けている。憲法と選挙法によると、最高国家権力機関の全国人民代表大会には適当な人数の少数民族代表がおり、人口の特に少ない民族は少なくとも1人の代表がいる。第一期全国人民代表大会から、少数民族代表の比率はずっと14%前後を保ち、少数民族の人口が全国人口に占める8%前後の比率よりはるかに高いものである。地方の各クラス人民代表大会では、当地の集まってまたは分散して住む少数民族は、いずれも代表を選出してその地の人民代表大会に参加しており、しかもその少数民族代表の代表する人口数は当地の人民代表の代表する人口数より少なくてもよいことになっている。各少数民族の人は国家機関と政府部門で各種の職務を担任することができる。各民族は自民族の言語と文字を使用し、発展させる自由がある。国は少数民族の風俗習慣と宗教信仰自由を尊重、保護している。

中国政府は国際人権条約の人権促進面の積極的な役割を重視している。いままでに中国は21の国際人権条約に加入し、多種の措置をとって条約の義務を真剣に履行している。1997年10月、中国政府は「経済、社会、文化の権利に関する国際条約」に調印し、2001年2月、全国人民代表大会常務委員会は同条約を批准し、2003年、中国政府は期限どおりに国連に最初の条約履行報告を提出し、2005年4月、国連経済・社会・文化権利委員会の審議を受けた。1998年10月、中国政府は「公民権利と政治権利に関する国際条約」に調印した。現在、中国の関係部門は検討と準備を急いでおり、条件が成熟すれば、国務院は全国人民代表大会常務委員会に条約批准審議問題を提出する。