中国の環境保全(1996~2005)

結びの言葉


結びの言葉

中国政府と中国人民は環境保全のために大きな努力を傾けた。しかし、中国が工業化と都市化が加速的に発展する段階にあり、また経済成長と環境保全の矛盾が非常に突出する時期にあるため、環境情勢が依然として非常に厳しいことを、中国政府ははっきり見てとっている。一部地域の環境汚染と生態悪化はまだかなり厳しく、主要汚染物の排出量は環境の受け入れ能力を超え、水、土地、土壌などの汚染がひどく、固体廃棄物、自動車の排気ガス、持久的有機物などの汚染が増えている。新世紀の最初の20年内に、中国の人口が引き続き増え、経済総量が2000年の4倍に増え、経済社会発展の資源に対する需要が絶えず増大するため、環境保全の直面する圧力は大きくなるであろう。

資源環境の圧力が日増しに大きくなるという突出した問題に対し、中国政府は科学的発展観で経済社会発展の全局を統率し、資源節約型、環境友好型の社会の建設を速め、人と自然の調和のとれた発展を促進することを明確に提出した。発展目標を制定するとき、中国政府はエネルギー節約と環境保全を重要な戦略的位置に置いている。中国の国民経済と社会発展第11次五カ年計画は、今後5年間の環境保全の主要な目標を次のようにはっきり提出している。つまり2010年までに、国民経済の安定してわりに速い成長を保つと同時に、重点地区と都市の環境の質を改善し、生態環境悪化のすう勢を基本的に抑制する。国内総生産(GDP)単位あたりのエネルギー消耗は第10次五カ年計画期の末期より20%前後下げ、主要汚染物の排出総量を10%減少し、森林被覆率を18.2%から20%に高める。

この目標を実現するために、中国政府は水汚染と大気汚染の防除任務を確実に実行し、都市・農村の環境と生態環境の保全を強化し、核と放射環境の安全を確保し、国家環境保全プロジェクトなどの重点的任務を実施し、環境保全活動を全面的に推し進める。中国政府は力を集中して人民大衆の健康をひどく損なう汚染問題を解決し、人民大衆の飲用水の安全保障を汚染防除の最も重要な任務とし、最も厳格な措置をとって飲用水の水源に危害を加える目の見えない汚染を効果的に取り除く。

この目標を実現するため、中国政府は「三つの変化」の実現を積極的に速める。第一は、経済成長を重視し環境保全を軽視することから環境と経済成長をともに重視することに転換し、第二は、環境保全が経済発展に立ち遅れることから環境保全と経済発展の歩調が同時に進むことに転換し、第三は、主に行政の方法で環境を保全することから法律、経済、技術と必要な行政方法を総合的に運用して環境問題を解決することに転換する。経済が安定して成長し、環境資源の代価が最も小さく、環境意識がわりに高い経済社会文化体系を確定し、空間分布の面では、経済発展と環境の受け入れ能力を統一させ、それぞれ特色をもつ発展枠組みを形成する。開発最適化、重点的開発、開発制限、開発禁止の異なる要求に基づいて、異なる区域の機能を明確にし、異なる発展方向と環境保全の目標を制定する。中国政府は発展の中で環境保全を実行し、環境保全の中で発展を促進し、節約発展、安全発展、クリーン発展を堅持し、持続可能な発展を実現する。

この目標を実現するため、中国政府は重点的突破の方針の全面的推進を堅持し、予防を主とし、総合的に整備する原則を堅持し、環境保全の政策法規を引き続き整備し、その執行を厳格に監督し、法によって環境管理を強化し、地方政府の環境の質に対する法的責任を強化する。企業の環境保全施設の審査を厳格にし、企画と重要な政策決定の環境アセスメントを強化し、発生源から環境汚染と生態破壊を防除する。重点流域、水域、沿海都市の海域の特別整備を拡大し、環境の質を確実に改善する。政府、企業、社会多元化の環境保全投融資メカニズムを整備し、環境保全への投入を増加する。公衆の環境保全への参与を推進し、社会監督を強化する。先進的な環境モニタリングの警報体系と完備した環境法律執行監督体系を確定し、突発的な環境事件の警報能力を確実に増強し、環境監視管理能力を全面的に高める。

世界の環境を守ることは、すでに人類社会の共通の認識となっている。責任を負う発展途上大国として、環境問題をきちんと解決することは、中国の発展目標に合致し、13億中国人民の福祉にかかわることであり、人類の共通の利益の重要な体現でもある。中国政府と人民は世界各国政府と人民と一緒に、美しい地球の家を守るであろう。