中国の環境保全(1996~2005)

五、農村の環境保全


中国は農業大国であり、農村人口は圧倒的多数を占めている。農業の環境汚染防除、農村の環境改善は中国の環境保全の重要な任務である。

――農村環境の総合的整備。ここ数年来、中国政府は広大な農村地区で環境の美しい町、生態文明村を作る活動を展開し、農村環境の総合的整備を推進している。現在、全国で178の町が「全国環境優美の町」の称号を授与された。国は「三湖」地域と長江デルタ、珠江デルタ、黄河デルタ地域に重点を置いて、家畜、家禽、魚類の養殖による汚染、面源汚染の総合的防除の手本作り活動を展開している。一部の省(市)は村の環境整備にいちだんと力を入れ、農村のインフラを整備し、農村の生活汚水、ゴミ処理と農業の面源汚染の除去の面で、ある程度の進展をとげた。ここ数年来、国は各種の農村飲用水プロジェクトを80余万カ所建設し、6700余万人の農村人口の飲用水の困難と不安全の問題を解決した。全国で土壌汚染調査を行い、汚染防除の手本を作り、農産物の安全検査測定と監督・管理体系を確立している。農薬と化学肥料の環境安全管理を強化し、高効率、低毒、低残留の化学農薬を推し広め、野菜、果物、食糧、茶と漢方薬草などの生産に高毒、高残留の農薬の使用を禁止している。化学肥料、農薬、農用薄膜の不合理な使用と汚水灌漑による面源汚染を防止し、農産物の安全を確保している。新型の安全、良質、高効率の飼料を開発し、飼料の吸収利用率を高め、養殖生産物の薬物残留と有害物質排出を減少している。家畜・家禽の糞便の総合的利用と処理技術を推し広め、養殖業と栽培業を密接に結びつける生態農業プロジェクトの建設を奨励している。

――生態農業と生態モデル区の建設。中国政府は生態農業の建設を農村経済と生態環境の全面的協調的発展を促進する重要な措置としている。現在、全国に生態農業を建設する県は400余県あり、モデル区の建設を展開している県市は500を超えており、そのうち、国家クラスの生態農業県が102県、国家クラスの生態モデル区が233ある。ここ数年来、有機食品と関係ある管理・発展メカニズムがたえず整備し、「有機食品認証管理規則」「有機食品国家基準」が制定され、良好農業規範国家基準と認証実施規則が制定され、発生源の整備が展開されている。国家有機食品生産基地の創設作業が展開され、国家クラス有機食品生産基地に命名された生産基地は43カ所に達し、有機食品の産業化発展を推進している。全国の有機食品認証面積は300万ヘクタールを超えている。

――乾燥農地の節水農業を発展させる。国は2005年までに7億余元を投入し、水資源の乏しい乾燥地区、半乾燥地区で460余りの節水農業モデル基地を建設し、農芸、バイオと工事措置および乾燥農地の農業技術を総合的に運用し、天然降水をフルに利用して、水資源の利用効果と農業生産能力を高め、水土流失を食い止めている。国は保護的耕作を積極的に推し広め、脱穀後のわらで農地を覆う、耕さないで播種する、土を十分にほぐす、草をとる技術を主な内容とする保護的耕作プロジェクトを始動させ、北京・天津周辺地区と西北地区の風砂の発生地帯に重点を置いて2つの保護的耕作帯を建設した。2005年末までにモデル県を累計100県建設した。

――農村の新型エネルギー建設。農村の新型エネルギーを開発し、推し広めることは、農村の生態環境を保護、改善する重要な手段である。第10次五カ年計画期に、国は前後して35億元を投入して、メタンガス建設をきずなとするエネルギー生態のパターンを重点的に推し広めた。2005年末現在、全国のメタンガスを使用する所帯は1700万戸以上、メタンガスの年産量は65億立方メートルに達した。国は家畜・家禽養殖廃棄物のメタンガス化プロジェクトを大いに発展させ、すでに2200余カ所を建設し、年間6000余万トンの家畜と家禽の糞便を処理している。生活汚水浄化によるメタンガス池を13万7000カ所、脱穀後のわらや茎のガス化によるガス集中供給プロジェクトを500余カ所建設し、薪を節約するかまどを1億8900万戸の農家に推し広め、太陽熱による給湯器のカバー面積は2850万平方メートルに達した。それと同時に、太陽熱かまど、風力エネルギー、地熱などの再生可能エネルギーの使用を積極的に推し広めている。