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中国の金融機関は、米国で低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付き問題が発生したこの時期をチャンスとして十分に利用し、米ウォール街に「手を出す」べきだろうか。専門家の見方はさまざまだが、「リスクを全面的に評価し、慎重に事を進めるべき」という点では一致している。「中国証券報」が伝えた。
日本の金融大手が相次いで米金融界に出資しているが、中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇主任は「中国金融機関はまだウォール街に出資すべき時ではない」との見方を示す。郭主任は「一部の金融機関が出資する可能性は排除できないが、中国企業は買いたたこうという発想で出資するのではなく、長期的な発展の視点に立って投資を検討しなくてはならない。金融機関は業務発展の視点で戦略的投資を進めるべき」と指摘し、「現在のはっきりしない状況の中で、もしも米国が市場救済プランを実施すれば、米ドルは一層下落し、投資家は損失を被る」と述べる。
中国社会科学院世界経済・政治研究所の張明さんも、米サブプライム問題の今後の展開が読めない中で、今は中国金融機関がウォール街に出資すべき時ではないとの見方を示し、次のように話す。早くも今年の上半期に、「中国ではサブプライム問題のピークは過ぎた。中国金融機関は米国金融市場への出資を考えてもいい」との声が上がっていたが、もしも中国の機関投資家がこの判断を信じ込んで、米国市場に手を出し、リーマン・ブラザーズの株を買ったとしたら今頃どうなっているだろうか。米国国内には資金にゆとりがあって市場を眺めている投資家がいないわけではなく、彼らが投資を控えているのだ。このことからサブプライム問題の先行きには大いなる不確実性が横たわり、市場は引き続き低迷する可能性があることがわかる。あえて危険を冒すよりは、経験豊かな投資家の動きを観察していた方がよい。「決め手は現金」だ。中国金融機関にとっては、現金を手元に置いて購入のチャンスをうかがい、よりよいチャンスの到来を待つというのが現在の最善の策だ。
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