中国社会科学院世界政治経済研究所専門家の張明氏(資料)
中国社会科学院世界政治経済研究所専門家の張明氏は、8日に発表したレポートで、米国の7000億ドルの金融安定法案の成立は決してサブプライムローン危機の終結を意味しておらず、中国の輸出業は2009年~2010年にかつてない困難な局面を迎えることになるとの見方を示した。
7000億ドルの金融安定法案も焼け石に水
米国の7000億ドルの公的資金投入額は、12兆ドルの住宅ローン、62兆ドルのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)、数百兆ドルの金融派生商品にとって規模は大きいとは言えない。仮にこの7000億ドルがすべて問題の金融機関への資本注入に当てられれば、大きい意味で問題が解決する可能性がある。しかし、この7000億ドルを不良資産の買い入れに当てられるなら、この金融安定法案の効果は極めて限定的になる。
サブプライムローン危機による影響は引き続き拡大し、より多くの金融機関が破綻するかあるいは買収、再編されることになろう。米国の実体経済は大きな後退局面に陥る恐れがある。米連邦準備理事会(ERB)がさらなる利下げに踏み切り、米財務省もより多くの財政資金を注ぎ込むことで、米国の財政赤字はいっそう拡大し、米国債の信用等級の低下やドル安に拍車がかかることになる。
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