一方で、国務院は香港において人民元建て貿易決済センターを建設する意向を示しており、香港は今後、人民元のアジアでの流通・集散の中心地となることが考えられる。これにより、香港の国際金融センターとしての地位が強化されるだけでなく、香港と内陸部の経済融合も加速する。EUを例にすると、ユーロが出現してから、EU一体化プロセスは明らかに加速した。これと同様、香港における人民元建て貿易決済センターの建設により、人民元の香港での流通拡大が予想され、香港と珠江デルタの一体化は加速し、香港の金融危機の克服と経済発展にしっかりとした基礎を築くことになる。
人民元建て貿易決済はまた、人民元が国際化の道を歩み始めたことも意味している。国際金融危機は人民元国際化にチャンスを与えている。米国の「金ばら撒き」政策は金融危機を世界に転嫁するものであり、国際金融体系において実体経済を下支えとする通貨が国際通貨システムに仲間入りすることが期待されており、人民元はまさにその期待を担っている。「ユーロの父」マンデル氏は、既存のドル、ユーロ、日本円の他に、人民元はやがて4番目の国際通貨になるという見方を示している。人民元の国際化は、中国の長年にわたる「貿易大国、通貨小国」というアンバランスな状況を変え、現行の国際通貨体制の中国へのマイナス影響を軽減し、中国の世界経済における影響力と発言権を強化し、中国の国際地位を向上させる上で有利となる。
「チャイナネット」2009年4月9日
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