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人民元、米ドルと対抗できるか? 
発信時間: 2009-04-13 | チャイナネット

 

金融危機の悪化が続く中、中国は発達した4都市で人民元での国際貿易決算を試験的に開始した。このニュースを各大手サイトはこぞってトップニュースとして報道している。この公共政策を大々的に推し進めれば、貿易コストを削減し、友好的に為替リスクを回避し、人民元の国際化をいち早く推進することが確かにできるだろう。「中国青年報」が伝えた。

人民元が国際化の大きな一歩を踏み出すことに、多くの人がいつになく興奮している。「試験的な人民元建て決算が成功すれば、人民元は国際通貨流通において発言権を獲得し、世界通貨の覇者である米ドルに対抗し、対等の兄弟となりえる」というネットユーザーまでいる。

ネットユーザーや専門家が人民元のいち早い国際化を願う気持ちは理解できるが、人民元の国際化に関する問題については、慎重さが必要だ。人民元の地位や作用を実際以上に高く見積もってはならない。人民元が本当にドルに対抗するには少なくとも次の3つが前提条件となる。

(1)経済総合力。中国の現在の経済総量と対外貿易額はそれぞれ世界第4位と第3位ではあるが、米国には遠く及ばない。経済総量は米国のわずか23.7%だし、貿易総量は依然として米国とは比べものにならない。米国は今でも唯一の超大国なのだ。このため世界経済トップ2、3の日本とドイツでさえも自国通貨で米ドルと対抗するとは軽々しく発言しない。

(2)準備通貨メカニズムの整備。中国の為替レートの体制と枠組みは今だ整備されておらず、国際化のレベルに達していない状況で、人民元を準備貨幣とするのはリスクが高いだけでなく、より重要なこととして、投資や資産の機能を果たせない。

(3)人民元の国際化は単に価格と数量の問題ではなく、中国の金融管理水準、認知能力、管理能力など各方面に関わってくる。例えば、世界で2番目に流通しているユーロは、1999年の発行からすでに10年経つが、監督・認知面などの総合措置の整備が進まず、今だドルの覇王の地位を脅かすに至っていない。人民元は国際化の小さな一歩を踏み出したにすぎないのに、ドルとの対抗を唱えるのは空論にすぎない。

以上のことから、人民元の国際化の道のりについて、人民元がドルに対抗できるという軽々しい発言は控えるべきだ。中国の国情に合わせて、一歩一歩着実に行動していけば、いつかはドルの独占的な地位を打ち破り、ドルの覇者の地位に対して有力なバランスをとり、国際金融においてより多くの発言権を獲得する日がくるだろう。

「人民網日本語版」2009年4月13日

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