金融危機の影響を受け、中国市場撤退を検討する日本企業が増えつつある。資本撤退の秘訣(ひけつ)を教える講演会などもさかんに開かれている。報道によると、資本撤退や解雇手続きを説明するための弁護士事務所や経営コンサルタントによる講演会は2月前後から増えてきた。日本企業にコンサルタントサービスを提供しているある会計士によると、資本撤退を相談しにやってくる日本企業の数は金融危機前に比べて2倍近くに増加したという。「中華工商時報」が伝えた。
中国には現在、約2万社の日本企業が展開している。ここ数年、労働集約型の製造業を中心とする大量の日本企業が中国に進出してきた。中日合資企業の製品も、衣類・食品・化粧品・電子製品・自動車工業など中国の各消費分野にかかわっている。日本製品は、中国人の日常生活の隅々にまで浸透している。キャノン・トヨタ・ニッサン・ホンダなどのブランドは中国人の間でも知名度が高い。
東芝などの日本企業は08年から、世界中で大きな損失を出しているが、中国市場での経営は依然として好調だ。例えば、中国市場に対する東芝の関心は弱まるどころか、前よりもいっそう高まっている。同社の対中投資の重心は01年から、生産コストの引き下げから中国市場での販売に転換された。東芝は今後数年で、10億ドルにのぼる対中追加投資を行い、対中投資総額は20億ドルに達する見込みだ。投資範囲は、ノートパソコンや携帯電話、半導体、家電など各分野におよぶ。
このような状況の下で、中国撤退を検討する日本企業が増えているのはなぜなのか。中国の労働力コストが高まっていることや内外企業に対する所得税率の統一化、人民元の高まりなどを理由と考える人は多い。だがここには、さらに重要な要素が存在することを見逃してはならない。日本経済が08年から、欧米諸国の一部を超える低迷となっていることだ。海外展開する多くの企業が、政府の呼びかけによる自社再建に乗り出し、海外の子会社への投資を削減したり、撤退を決めたりしている。
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