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30年間の高所得業界の変遷 所得格差10倍に
発信時間: 2009-05-19 | チャイナネット

2000年に一人当たり平均給与が最高だった業界と最低だった業界とでは、所得額に2.63倍の開きがあったが、これが05年には4.88倍に拡大した。国際的に認められる業界間の合理的な所得格差水準は3倍前後で、3倍を超えれば調整が必要だとされている。週刊誌「瞭望」が伝えた。

ここ30年間の中国の平均給与の動きをながめると、高所得の業界が一連の変遷をたどっていることがわかる。

1978年に改革開放路線がスタートしたころは、電力・天然ガス・水の生産・供給業、建築業、地質探査業、土木管理業などが高所得業界だった。一方、金融業、保険業、不動産業などの所得は全国平均を下回っていた。社会全体の所得が低く、高所得業界と低所得業界との格差はそれほど明瞭ではなかった。一人当たり平均給与が最も高かった業界の給与額は最も低かった業界の約1.8倍だった。

1992年になると、採掘業が高所得業界になり、93年には電力・天然ガス・水の生産・供給業、交通業、運輸業、倉庫業、郵便業、電話業、通信業、不動産業が取って代わった。ここから不動産業、郵便業、電話業、通信業が発展し始めたことがうかがえる。

94年以降は、電力・天然ガス・水の生産・供給業、不動産業が引き続き高所得業界となった。金融業、保険業、科学研究業、総合技術サービス業も高所得業界の仲間入りをし始めた。

2002年には電力・天然ガス・水の生産・供給業、交通業、運輸業、倉庫業、郵便業、電話業、通信業、金融業、保険業、科学研究業、総合技術サービス業、不動産業が高所得業界だった。高所得業界の平均給与は全国平均を約5千元上回り、最も高い業界の給与額は最も低い業界の2.99倍だった。

03年以降には業界の区分が調整され、03年から07年の5年間には(1)電力・天然ガス・水の生産・供給業(2)金融業(3)科学研究業、技術サービス業、地質探査業(4)情報伝達業、コンピューターサービス業、ソフトウエア業ーーの四大業界が高所得業界となった。

人力資源・社会保障部の統計によると、現在、電力、電気通信、金融、保険、タバコの各業界の従業員の平均給与は、その他の業界の2倍から3倍に達する。給与以外の収入や福利厚生の格差を計算に入れると、実際の所得格差は5倍から10倍に達するとみられる。

ここ10年ほど、業界間の所得分配が全体的にみて技術集約型業界、資本集約型業界、進行産業へと傾斜しており、一部の独占的業界の所得はさらに高くなり、自己資本が少なく、労働集約型で、競争が激しい業界の所得は相対的に低くなっている。

国家発展改革委員会宏観経済(マクロ経済)研究院社会発展研究所の楊宜勇所長は「現在の高所得業界にはコンピューターサービス業などのハイテク産業が含まれるが、全体的にみて所得水準が比較的高いのは金融、電気通信、電力といった独占的傾向のある業界だ。独占的業界の高収入という偏りは、業界間の所得格差を増大させる主な原因であり、社会的な非難を呼び起こす最大の誘因でもある」と話す。

「人民網日本語版」2009年5月19日

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