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温州のアパレルメーカー、危機の中でチャンスを |
発信時間: 2009-05-20 | チャイナネット |
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浙江省温州市にあるアパレルメーカー奥奔妮は、紳士服を専門に製造する会社だ。そんな奥奔妮に5月11日、イタリアのアンコーナ県の商務部門の代表団が訪れた。 アンコーナ県には、ファッションや皮革製品でトップブランドを持つメーカーが多くある。そうしたアンコーナ県の代表団が今回わざわざ温州に視察に訪れたのは、デザインや縫製、販売などの面で温州のメーカーと協力するためだ。 奥奔妮の社長で温州服装協会の会長の鄭晨愛氏は、「これは金融危機がもたらした一つのチャンス。アンコーナ県にはファッションや皮革製品を製造する中小企業が多く、有名ブランドもかなり多い。しかし今は金融危機で不況に陥っている。そうでもなければこちらには目を向けてくれることはないだろう」と冗談交じりに話す。
金融危機の中の温州のアパレル産業
温州は中国のアパレル産業が集中している地域の一つで、約2000社のメーカーがあり、売り上げは年間500億元余り。しかし金融危機の影響でこれらの企業も被害を免れることはなかった。 多くの企業は相手先ブランド製造(OEM)のため、外需の縮小で稼働率はほぼ75%前後に落ち込んだ。自社開発力もなく外国の注文だけに頼っている小規模なメーカが倒産する例は珍しくない。こうした厳しい状況に直面した温州のアパレルメーカーは、危機脱出の道を積極的に探っている。
期待される温州の共同ブランド「優衣派」 温州のアパレルメーカーは、利益率が最も低い「スマイルカーブ」の底部にあたる製造の段階が多い。「スマイルカーブ」とは、付加価値を製造過程の流れに沿って図に表すと、笑った口のような形になることからこう呼ばれており、開発やアフターサービスなどは付加価値が高く、製造やものづくりの過程では付加価値が最も少なくなる。金融危機で大きな影響を受けたのもこうした製造業だ。 しかし金融危機による被害が比較的少なかったメーカーもある。それは商品開発や販売を手がけるブランド力のある美特斯・邦威(Meters/bonwe)や森瑪などのメーカーだ。温州もこうしたメーカーを手本に、各メーカーのブランド力が弱ければ手を組んで一緒に影響力の強いブランドを作り、温州でも一番実績のある企業がデザイングループや販売ルートを統合して、「優衣派」というブランドを育てることになった。 計画では5年間で全国の都市部に大型ファッションビル「優衣派」1000社を設け、温州のファッションや皮革製品、メガネ、紡績企業が製造したファッション用品を共同ブランドで販売し、中国国内市場の開発に力を入れる。また温州市政府は、「温州」という地域ブランドのイメージを向上させるために、今後2年間で全国に100カ所の「温州名品ショッピングセンター」を開設し、温州製の製品を販売する政策を打ち出した。その1号店はすでに天津にオープンしている。
海外の力を借りて危機を脱出 金融危機の「おかげ」で、イタリアのアンコーナ県のように海外協力のチャンスも増えた。また5月13日には香港アパレル業界協調会の代表団が温州のメーカー数社を視察、温州の服装協会とデザイン面で協力を強化し、共同でファッションデザインスタジオを設立することで合意、また温州の販売ネットワークを利用して香港ブランドを大陸で売り込み、香港での「温州名品ショッピングセンター」設立などで話しがまとまった。 また人材の育成や交流メカニズムの形成、管理やデザイン、販売、意匠面での香港側の協力など、温州のファッション産業はこうした海外の力を借りてグレードアップを計り、一日も早い金融危機の影響からの脱出を目指している。
アジアファッションの発信地を目指して 温州のファッション産業の弱みはデザインだとよく言われるが、それは中国人デザイナーの能力不足ではなく、根本的には東洋文化が西洋文化との競争で圧倒されたためだと鄭会長。「東洋人と西洋人は体型や肌の色などが違う。それなのになぜパリやミランのファッショントレンドを追いかけるのか。こうした状況では西洋のトップブランドに匹敵できるブランドを作ることは非常に難しい」 デザインの「東洋化」では日本との協力に期待しているという鄭会長は、「中国、日本、韓国、シンガポールなどのアジアのファッション業界は、東洋文化をファッションに注ぎ込み、東洋文化の魅力をPRして、上海、東京、ソウルなどをアジアのファッションの発信地にしなければならない。そして世界中が東洋文化に注目するようになってこそ国際的に影響力のあるブランドが作れる」と話す。
「チャイナネット」 2009年5月20日
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