また張董事長によると、数年来一貫して産業のグレードアップに取り組んでいるが、大型航空機のような国家級プロジェクトがなければ、グレードアップしようにも明確な方向性を欠くことになり、往々にしてペースが遅くなる。反対にプロジェクトの牽引があれば、関連する伝統的な産業にはグレードアップの具体的な目標と基準ができる。たとえば極普通の座席カバーや機内の絨毯などの繊維製品は、民間航空機で使用する場合には外観の改良に加えて防火性能を備えることが必須とされる。このように、伝統的な繊維産業にグレードアップの要求がつきつけられている。
張董事長は「科学技術の進歩を促進する最良の手段は、応用を第一とすることだ」と指摘し、次のように述べた。国家プロジェクトを通じて科学技術の革新をもたらすのが最も効果的だ。このようにしなければ科学技術の革新には方向性と駆動力が欠けることになり、科学技術の成果も「店ざらし」にされて生産力に転じることが難しくなる。
大型航空機プロジェクトは流体力学、固体力学、計算数学、熱物性学、化学、情報科学、環境科学などさまざまな基礎的学問に関連をもち、こうした大規模な重要科学技術プロジェクトを通じて、基礎的学問の発展が大いに加速されることにもなる。
大型航空機の研究開発が始まってから一年も経たないうちに、一連の中核的技術の研究がスタートし、一部ではすでに成果も上がっている。たとえば中国の低速空気動力学の研究分野で難度の高いテスト技術であるターボファンエンジンのモニター試験技術が開発に成功した。これにより中国は米国と欧州連合(EU)に次いで、世界で3番目に同テスト技術を掌握した国・地域になった。
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