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金融危機下の中日米の三カ国関係
発信時間: 2009-06-08 | チャイナネット

4つの欠陥

中米日三国は相互の関係と連携を次々と進展、レベルアップさせているが、その中に構造的な欠陥と満足できない部分が存在することを見て取ることができる。それらは、以下4つの面である。

(一)三国の関係の中では、中日関係が相対的に弱い。

日米関係は北朝鮮の核問題をめぐって、近年不調和音が出現しているが、全般的には、日米二国間関係は一貫して緊密かつ安定的状態を保っている。中米関係は一般的な地域問題の処理という関係を超えて、日増しに、国際問題に影響を及ぼす最も重要な二国間関係になりつつある。

中米日三国関係の中では、中日関係が相対的に弱く、これが三カ国全体の関係の発展を大きく制約している。

主には、

第一に、両国間に相互信頼不足が存在する。

東アジア地域、中日韓三国間、中日二国間のFTA等、経済緊密化協力メカニズムの構築が遅れているが、これは中日両国の信頼度不足に関係がある。

第二に、両国の意思疎通の面で、いまなお意思疎通を困難にする誤解がある。2009年1月初、日本側は中国が一方的に東海の天外天石油ガス田を開発していると非難し、中国側が両国間で2008年6月に形成した共同開発の共通認識に背いたとの考えを示した。中国側の考えは、天外天石油ガス田は日本と争いのない中国専属経済区域内に位置し、中日共同開発の範囲内に含まれない、というものである。こうした考えの相違は、明らかに双方の意思疎通不足、共通認識に対する理解の相違、さらには誤解が存在することを表したものである。

第三に、民間においても、対立と相互の嫌悪感情が依然として広く存在し、関係改善の歩みはのろい。

第四に、両国間に存在するセンシティブな問題は両国関係を不安定にさせる潜在的要素であり、その一部は一定の条件下において起爆剤となり、両国関係の大局を損なう可能性がある。2008年末から2009年初にかけ、釣魚島問題が改めて両国政府の交渉及び世論の関心の焦点となり、再び両国国民の対立感情を引き起こすこととなった。中日間に存在する歴史認識問題、領土問題、東海の問題、経済貿易における問題等固有の問題に、有効なコントロールと緩和措置を加えないならば、これらは両国の矛盾を激化させる焦点となるかもしれない。

 

(二)三国間で意思疎通と協力を図るメカニズムが欠けている。

中日米の三カ国は、世界のGDP上位3位の経済大国であり、しかもアジア太平洋地域、特に東アジア地域において最も影響力の強い三大国家である。しかし、この三大国間には、その地位と影響力にふさわしい意思疎通と交流のメカニズムがない。ただ二国間あるいはその他の多国間の接触とコミュニケーション・プラットフォームを通じて交流しているに過ぎない。これでは、三国関係に一種の構造的欠陥があると言わざるを得ない。これはアジア太平洋地域、特に東アジアの安全、安定、発展にとって一種の損失である。

(三)金融分野の交流と協力が不足

金融危機問題を解決する実力が最も高い中日米三国間に、これに対応する協調メカニズムが欠けている。日米間に為替レートに関する相互協議が存在するものの、両国政府が有効に連携行動を採った形跡は見当たらず、円の為替レートは上がり続けている。2009年年初、円の為替レートは2006年に比べ約30%上昇した。主に米ドルで決済している日本企業は深刻な損失を蒙り、日本の実体経済は大きな損害を受けることとなった。

(四)貿易関係と技術協力の欠失

3月4日、日本の警視庁と広島県警察は合同で広島県福山市の「horkos」(ホーコス)という工作機械を大量生産する会社の本社を捜査し、同社海外営業課主任等合計4名を逮捕した。 その理由は、これら社員が中国、韓国に向けて、日本が輸出を規制している核兵器の遠心分離機の製造が可能なハイテク工作機械を輸出した、というものである。当該事件は、日本のハイテク輸出規制政策が米国と同様に時代遅れであることを反映している。中国は1964年には初の国産原子爆弾を製造し、さらに現在では非常に高度な原子力技術を有している。韓国は核兵器を保有しないと明確に宣言している。従って、日本のハイテクを守ろうとするこうしたやり方は、核兵器製造の阻止には何の作用ももたらさないばかりか、韓国、中国の技術の進歩を制限することもできない。多分米国の結末と同じく、傷ついたのは自国の産業のみであろう。

日本が自国産業を害した顕著な例は、中国高速鉄道建設における技術移転に対する保守的な態度である。日本のこうした態度が、新技術を中国に売ってくれるドイツのシーメンス社を選ばせた。2005年、中国とシーメンス社は6.9億ユーロにも上る契約を締結し、京津高速鉄道への技術サポートが行われた。2008年のオリンピック直前に、通常運行速度300km、最高運行速度350kmの京津高速鉄道が竣工した。日本はその保守的な技術移転政策により、本来獲得すべき中国の当該市場を失い、日本企業が比較的容易に得られたはずの大きな利益を減少させ、日本企業自身の発展を阻害したのである。

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