税関総署が11日発表したデータによると、今年5月の対外貿易輸出入額は前年同月比25.9%減少し、1ー5月期の前年同期比減少率は1ー4月期に比べて1.5ポイント上昇した。うち輸出の減少率は5.9ポイントの上昇だった。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
国家発展改革委員会マクロ経済院対外経済所の張燕生所長は「これに先だって中国対外貿易の輸出入には一連の好材料もみられたが、最新データがわれわれに教えてくれることは、世界的な需要の縮小傾向には変化がなく、対外貿易情勢には引き続き多くの不確定要因が存在しており、中国は持久戦に備えて心理的な準備をする必要があるということだ」と話す。
昨年11月から今年2月にかけて輸出額は4カ月連続で減少した。今年3・4月には前年同月比の減少率は上昇したものの、前月比では増加に転じた。だが5月の輸出額は前年同月比26.4%減少しただけでなく、前月比でも3.4%減少し、また輸出入総額、輸入額も前年同月比、前月比ともに減少した。
張所長によると、世界的な需要の縮小や貿易保護主義といった要因の影響により、現在も世界貿易は下落傾向に歯止めがかかっていない。各国が実施した金利の引き下げや流動性資金の投入といった市場救済措置も、実体経済に対する効果は不明瞭で、世界的な需要縮小という局面を転換させるには至っていない。
ある業界関係者によると、予見可能な今後の数カ月間、中国の対外貿易情勢は引き続き厳しいものになるとみられる。世界経済の落ち込みの最も厳しい時期は過ぎ去ったが、これは非常に低いレベルの土台の上での改善であり、なお底辺をさまよい、変動を繰り返す時期は続くとみられ、今後短期間はあまり楽観すべきではないという。
張所長は「現在の状況から考えて、上半期の対外貿易輸出額は20%を超えるマイナス成長になるとの局面が基本的に確定した。通年の輸出額は10%減少し、輸入額は5%から8%の減少になり、貿易黒字は昨年よりも500億ー1千億ドル減少する見込みだ」と話す。
対外貿易情勢の厳しさを踏まえて、国務院常務会議は先月27日、現在から今後の一時期にかけて、外部需要の縮小による輸出の減少が引き続き中国の経済成長が直面する最大の困難になるとの見方を示した。また会議では、外需の一層の安定化に向けた6項目の政策措置を検討し、中国は内需拡大に軸足を置くと同時に、外需の安定化に向けて努力するとの姿勢を明らかにした。
その後、国は6月1日から一部商品の輸出増値税(付加価値税)の還付率を引き上げると発表。対象製品は農産品の深加工品、電気機械、靴・帽子類製品、ガラス製品、鉄鋼製品といった製造業分野の2600品目に及んだ。これは昨年8月以来の7度目の還付率引き上げだ。
外需の安定化は現在の中国が経済成長を維持する上で重要な意義をもつ。ある専門家の指摘によると、内需の拡大と外需の安定化とをしっかりと結びあわせ、着実できめ細かい対応を行い、あらゆる手を尽くして外需の安定化をはかれば、中国は国際金融危機の影響を最小限にくい止めることが可能になるという。
「人民網日本語版」2009年6月12日