中国銀行がこのほど、フィリピンでの人民元の現金業務を開始した。フィリピン国内の人民元現金は今後、香港を中継せずに大陸部に戻ってくることができる。人民元の海外還流メカニズムが改善されたことで、人民元国際化のプロセスもまた一歩前進した。「北京商報」が伝えた。
中国銀行とフィリピン中央銀行は7月31日、「人民元現金売買・輸送協議」を締結し、フィリピンでの人民元現金業務を正式に打ち出した。この協議によると、中国銀行は今後、人民元の現金売買や預け入れ、引き出し、輸送などの業務をフィリピンで行うことができる。さらに現地の商業銀行と銀行以外の金融機関に向けて、人民元口座の開設や人民元の預け入れ・引き出し、人民元の売買などの業務を行うこともできるようになる。
首都経貿大学の李セイ教授はこれについて、「人民元の海外還流メカニズムが改善されたことで、人民元利用の簡便化がいっそう進むことになる」と指摘する。
中国銀行マニラ支店は今回、120万元の人民元現金を市場から買い入れ、これを大陸部に輸送する計画だ。これまでは中国銀行(香港)を中継して中国大陸部の銀行システムに戻ってきていた人民元は今後、直航便で大陸部に戻ることができるようになる。
中国社会科学院世界経済政治研究所の徐奇淵博士によると、これまでは、中国銀行(香港)が、海外の人民元が還流するための唯一の正式なルートとなっていた。だが流動資金の規制の妨げとなったり中継がうまくいかなかったりといった問題があった。中国銀行とフィリピン中央銀行との今回の試みは、人民元還流に直接的でスムーズなルートを与えることになる。
中国銀行の担当者は、「政策の許す範囲で、フィリピン以外の海外支店でこの業務を広げていく可能性を排除しない」としている。徐博士はこれについて、「このような業務の打ち出しは人民元国際化のために必要なことだ。同時に、中国の貨幣政策への要求も高まることになる」と述べている。
「人民網日本語版」2009年8月4日