アディダスは7月18日、年末までに中国唯一の直営工場である、蘇州工業団地の100%子会社を閉鎖すると発表した。同社の競合他社のナイキは2009年3月、中国唯一の靴類生産工場(太倉工場)を閉鎖した。人民日報が伝えた。
◆コスト増、グローバル企業が撤退
アディダスやナイキと同様、近年多くのグローバル企業が、生産拠点を東南アジアに移転している。特にベトナムやバングラデシュ等が、欧米企業から注目されるようになった。その原因は、中国を大きく下回る人件費だ。
海外の某調査会社の研究報告書によると、中国紡績品製造企業の従業員の平均月給は188-300ユーロ(約1万8050-2万8800円)であるが、バングラデシュの場合は約80ユーロ(約7680円)、ベトナムの場合は120ユーロ未満(約1万1520円)であるという。中国の人件費は、東南アジア諸国の2倍以上に相当する。
中国税関総署総合統計司の鄭躍声司長は、「2011年末、税関総署は1856社の輸出企業に対してアンケート調査を実施した。人件費が上昇しているとした企業は80.4%、為替レートの変動によるコスト増があるとした企業は56.4%、原材料のコストが増加しているとした企業は56%に達した」と述べた。