山東省では、不動産販売における未完成物件予約販売制度の見直しに向けた完成物件販売の試行が展開されている。これは、8月初めに「国による未完成物件予約販売制度の撤廃」のうわさが伝えられたのに続く、未完成物件販売制度の撤廃に関する新しい報道である。未完成物件予約販売制度の見直しは不動産デベロッパーの資金チェーンに直接に影響するだけに、山東省の完成物件販売の試行は中国政府の不動産市場規制政策を見る上で、大きな意味がある。27日付中国証券報が伝えた。
中国現行の未完成物件予約販売制度は1994年の『中華人民共和国都市不動産管理法』の実施から始まり、不動産開発企業の資金難の問題を解決し、不動産開発と販売を促進することが目的だった。法律の規定では、分譲住宅の予約販売によって得た資金は当該物件の建設に充てることが義務付けられている。2010年、中国住宅・都市農村建設部(住建部)が文書を発表し、未完成物件予約販売制度の規範化を図った。
不動産市場の基本制度である未完成物件予約販売制度は、果たして不動産開発企業にどれほどの意義があるのか?中国国家統計局のデータによると、1―7月、不動産開発企業の調達資金が5兆832億元で、そのうち手付け金と前受金は1兆2750億元と全体の25%以上を占めた。これで、8月初めに「国による未完成物件予約販売制度の撤廃」のうわさが伝えられて、デベロッパーのほとんどが反対を表明したわけがよく分かる。
アナリストは、デベロッパーの資金不足問題が表面化しつつある状況においても、未完成物件予約販売関連資金の管理の強化あるいは未完成物件予約販売制度の微調整を行うことが可能であると話す。8月に入って、不動産市場の取引件数と取引額は高水準を維持しており、未完成物件予約販売制度関連の管理を強化することは、不動産販売の規範化につながると同時に、デベロッパーの前受金の流用による住宅購入者の利益の侵害も回避できると指摘する。
中国で圧倒的多数の分譲住宅は、未完成物件予約販売の形で販売されている。このような販売モデルにおいて、物件の分散などの原因により、情報公開、価格明示関連の監督・管理がますます困難になっている。さらに、不動産市場が急悪化した場合、予約販売により、弱い立場にある住宅購入者が大きなリスクを負うことになる。
現在、未完成物件予約販売制度に基づいた住宅販売モデルは、投資者に1つの投資手段を提供しているという面もある。未完成物件の販売価格が割りに低く、投資収益率が高いため、多くの投資者が未完成物件の取引で利益を得ている。一方で、完成物件の価格の変動が小さく、完成物件販売は不動産市場の安定を図る上で意義ある試みと言えよう。
住建部の責任者は先般、不動産市場の変化を慎重に分析した上で、関連部門と共同で不動産市場規制強化策を立てていくと表明した。未完成物件予約販売制度の調整とその他の複数の長期的効果のある規制措置の登場は、今後の中国不動産市場規制政策の新しい特徴となると同時に、中国不動産市場の持続可能でかつ健全な発展を促進する上でも重要な1歩となる。この意味で、山東省での完成物件販売の試行が、中国不動産市場の発展において重要な意義がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年8月27日