林国本
今回のロンドン・オリンピックで、中国の選手が金メダルを取得し、会場でコーチに抱きついて喜んでいる時、そのコーチが引退して国外でコーチの職を得た中国人であることがテレビで紹介された。また、中国のシンクロナイズド・スイミング・チームが銀メダルに輝いた時、選手たちが銀メダルを日本人コーチの首にかけてあげて、感謝の気持ちをあらわにしているのを見て、スポーツの世界の国際化の流れを感じた。日本人コーチもうれしそうに、「ベリー・ヘビー!」と言っていた。中国のフェンシング、競歩などの種目も外国のコーチを招いている。
テレビのキャスターは解説の中で、このような流れによって、中国の優位種目がだんだんその強みを失っていくのではないか、とごく少数の人が懸念を示しているが、これはスポーツの世界では相互交流によって、その種目がさらにレベルアップするきっかけになる、と語っていたが、私見としてはこの見解は正しいと思う。中国の女子バレーボール・チームもかつては日本の大松博文監督(故人)の協力でレベルアップしたし、中国の男子サッカー・チームなどは東欧、中欧、南欧、はては日本からもコーチを招請している。
世界のスポーツ界の全般的な流れとしては、これはもう常識となっているものである。
ビジネスの世界でも、世界各国の大手企業、多国籍企業が中国の北京、上海、天津に拠点を置き、数千人の中国ビジネスマンがそこで働いている。北京の求人市場では、外資系企業のブースもかなり目につく。要するに、グローバリゼーションと対外開放の流れの中でわれわれは暮らしているのであり、この現実を正しく捉えていく必要がある。中国人のコーチが育てた外国の選手に、中国の選手が負けたからと言って不快感を持つようでは、時代遅れもはなはだしい、と言わざるをえない。
しかし、かく言う私も在来のモデルに適応するために努力しつづけてきた人間であるが、第一線から退いた今日、次の世代の人たちのライフスタイルを目のあたりにして、私はこれこそ時代の流れだとそれを肯定している。私たちにとってできることは、これまでのモデルをできるかぎり現実に適合させることであろう。われわれの世代なりの役割を果たせばよいのである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年8月29日