「メイドインジャパン」といえば、たいていトヨタやホンダ、三菱、ソニー、パナソニックなどの大企業を思い浮かべるだろう。しかしその精神を担っている真の主役は、百万にも上る中小企業である。
日本企業の99%を占めるという中小企業は、「系列」と呼ばれる独特なピラミッド型の仕組みを、大企業と共に構築している。ピラミッドの先端にいる大企業の下に中小企業が階級的に並んでいるわけだが、決して部品の発注・受注だけの単純な関係ではない。川下企業は川上企業の要求に基づいて部品を生産するだけではなく、一段深い研究開発を行い、専門領域の加工技術を不断に向上させている。
日本の多くの小企業は、長い期間にわたり単一の製品を生産しており、1つの分野に集中させることで技を磨いている。各企業が各分野のエキスパートとなるため、川上企業にも認められる存在となり、双方ともに良好な協力関係が維持される。安定した発注・受注があれば、中小企業は研究開発により時間を割くことができる。「系列」とは、好循環が生まれる仕組みなのである。