2011年度「中国統計年鑑」によると、中国都市部にある労働機関の従業員の一人当たり平均給与は2006年は2万856元、07年は2万4721元、08年は2万8898元、09年は3万2244元、10年は3万6539元という具合に、毎年増加してきた。増加の原因として、国の労働力ニーズの増加が挙げられる。
給与とは労働力につけられた価格だ。給与もほかのものの価格と同様、需給関係によって決まる。ここでは需要を問題にする。労働力の供給は生産年齢人口によって決まるため、ゆっくりしたペースで増加するからだ。労働力ニーズは生産によって決まる。生産には資本と労働力という2つの要素がある。資本が固定されて労働力だけが増加した場合、労働力が増えれば増えるほど、新たに増えた労働力がもたらす生産量の増加幅は小さくなる。これは経済学における基本的な法則だ。工場が労働者を雇い入れるのは、生産を増やすためだ。工場が支払う給与が労働者が生産で生み出す価値よりも小さければ、工場はより多くの労働者を雇い入れることができ、工場は最大の収益を上げることができるようになる。労働力が多くなればなるほど、労働者一人当たりの生産量の増加額は少なくなるため、工場がより多くの従業員を雇い入れたいなら、一人当たり給与を下げなければならない。言い換えれば、資本が固定されていて労働力ニーズを増やしたいのなら、給与を引き下げる必要があるということだ。給与を減らさないで労働者を増やしたいなら、工場の資本を増やすしかない。