過去数十年にわたり、中国の経済発展は物的資本と人材資本の増加によってもたらされてきた。この2つの資本の増加の一部は国内資本の増加により、また一部は外国からの直接投資によるものだ。外国が中国に投資する場合には、単に物的資本を導入するだけではなく、新しい技術も導入することになり、ひいては中国の人材資本の増加を促ことになる。この2つの資本が増加すれば、中国の総生産や労働力ニーズが増加し、中国国民の給与も増加する。この2つの資本が増えなければ、給与が増えることはあり得ない。
外国人が中国に投資する理由は労働力が低廉で質が高いからだ。ここ数年間は中国の給与が高くなったため、外国からの投資で建設された工場が他国に移転する動きがみられる。ある人が給与の増加により外国からの投資が流出することは中国にとってマイナスだとしているが、こうした見方は正しくない。全体としてみれば、外国からの投資は今でも流入が流出を上回る。そうでなければ中国で2つの資本が増加したり、給与が増加したりすることはない。中国国内の2つの資本がさらに急速に増加しない限り、このようなことは起こらない。つまり、ある国の経済発展の重要な結果とは給与が増加することなのであり、給与が増加すれば国民の生活改善にとってプラスになる。