底打ちの兆しのあるアメリカ、下落が止まらない日本、低迷に陥ったEU、上昇が続く新興諸国など、世界の不動産市場の状況は様々である。
1990年代初頭、日本の不動産市場はバブルが弾け、世界最大規模の深刻な不動産危機に見舞われた。長年にわたる日本経済停滞の要因ともなった。現在に至るまで、不動産価格は下落を続けている。
国土交通省は先日、2012年の基準地価を公表した。2011年の大幅な下落に続き、今年も下落した。これで住宅用の地価は21年連続の下落となった。データによると、今年の日本の平均住宅地価は前年比マイナス2.5%で、商業地も3.1%のマイナスとなった。長期にわたる下落トレンドが止まらない状況だ。
EU諸国の不動産価格も依然として低迷中だ。1995から2007年までに不動産価格が5倍になったアイルランドだが、現在は2007年時の半分にまで下落している。スペイン国家統計局が発表した最新の「不動産価格指数」のレポートによれば、同国の今年第2四半期の不動産価格は前年同期比で14.4ポイントも下落した。近年来最大の下落幅である。同国の市場関係者は、高い失業率と経済の落ち込みによる苦境から、さらなる下落もあると見ている。
1999~2006年まで一貫して高騰を続けてきたギリシャの不動産市場だが、現在は2009年と比較して37%下落している。
不動産バブルが弾ける国もあれば、逆に価格上昇を続ける国もある。政府はどう不動産市場をコントロールすべきなのだろうか。
昨年末、シンガポール政府は厳しい不動産政策を実行した。不動産購入者から高い印紙税を徴収したり、外国人の不動産購入に対し、シンガポール国民と異なる待遇をとったりなどである。不動産の高騰に苦しんできた香港でも最近、「港人港地」政策がとられている。外部からの資本流入による不健全な不動産価格の高騰を防ぐものだ。ロシアでは、不動産税に累進課税制度を導入した。不動産価格が高ければ高いほど、税率も高くなる制度だ。
比較的不動産価格が安定しているドイツやフランスでも、それぞれ施策がある。フランス政府は不動産所有者に対して重税を課しており、不動産購入者は政府に対して高額の地価税を支払うほか、住宅税や空き家税などを支払う必要がある。
ドイツ政府では、高品質な福祉住宅の建設に力を入れている。定収入家庭に住宅を提供するものだ。それ以外にも、厳しい税制を設けることで投機的行為を抑制している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年10月5日