先進国の経験から、人口構造と所得分配の転換期の到来が第3次産業の発展を促進することがわかる。韓国を例に挙げると、1990年代初頭から、人口における扶養率はほぼ低下することはなく、所得分配の枠組みは住民所得の割合を重視する傾向にあった。これに伴い、第3次産業が急速に発展し、韓国の第3次産業の対GDP比率は、1980年代にはわずか2.2ポイントの上昇に止まったものの、1990年代には7.8ポイント上昇している。
今、中国が人口構造と所得分配のターニングポイントに差し掛かっていることは、第3次産業の発展にプラスとなる。2011年、中国の人口における扶養率は2010年の最低点から上昇に転じ、所得分配の枠組みが住民所得の割合を重視する動きも現れ始めている。2012年上半期、都市部住民の一人当たりの可処分所得と農村部住民の一人当たりの現金収入の伸び率はそれぞれ9.7%と12.4%で、いずれも同じ時期のGDP成長率7.8%を上回った。
そのため、時勢の流れに従い、第3次産業を発展させるのに有益なタイミングを掴むべきである。第3次産業のGDPに占める割合を引き上げる必要があるだけでなく、第3次産業の構造を最適化し、住民の生産活動と生活により良いサービスを提供できるようにすべきである。生活サービスに関して言うと、文化・娯楽産業と観光産業は大きな発展の可能性を秘めている。文化・娯楽産業を例に取ると、第3次産業に占める割合は、現在は2%に満たない。先進国の例から、一人当たりのGDPが5000米ドルに達した後、文化・娯楽における消費は急速な成長を見せ、その成長は一人当たりのGDPが3万米ドルを超えるまで続くことが明らかになっている。2011年、中国の一人当たりのGDPは5500米ドルで、文化・娯楽での消費が急速な成長期に突入することが期待でき、メディア産業が今後利益を受けることは明白である。また、人口の高齢化が進むにつれ、高齢者を主要対象とする経済や、インターネットやモバイル端末を利用したモバイルヘルス・サービスなどの高齢者向けビジネスが大きな焦点となる。