◆銀行株のバリュエーション回復は難しい
証券会社の関係者の多くが「金利差が縮小し、不良債権の問題が深刻化することで、上場銀行の収益力の向上、純利益の増加は困難になるだろう。今後しばらくの間は、投資家に資産運用での銀行株の購入はお勧めしない」と述べている。
中銀国際が発表した報告によると、長期的に見て、銀行株の成長の不確定性は高まり、中長期的に見ても、株価が上昇する根本的な要素は不足している。更に多くの景気刺激策が実施されれば、短期的に銀行株が反発する可能性はあるものの、反発は極めて一時的なもので、上昇幅も期待できない。
データによると、A株市場に上場している銀行の、2012年の予測利益に基づいて計算した株価収益率(PER)は平均5.53倍、株価純資産倍率(PBR)は平均0.96倍で、過去最低の水準である。H株の株価収益率と株価純資産倍率はそれぞれ平均5.33倍と0.97倍である。バリュエーション(株価評価の水準)にはある程度の魅力があるものの、今後、銀行は金利差の縮小に直面し、信用コストが上昇するリスクなどによって、バリュエーションが上振れする可能性は小さい。
招商証券は「上場銀行の高い収益と低いバリュエーションという矛盾は今後も続くだろう。経済が減速する中、銀行が利益の増加を維持し続けることは難しいと市場は懸念しており、今後、資産の質が劣化し、収益の成長を丸呑みする可能性もあり、銀行株のバリュエーションが短期間内に大幅に回復することは難しい」との見方を示している。
「中国証券報」より 2012年10月23日