ロバートソン氏がこうした見方を示した背景には、主権債務危機によって欧州自動車市場の低迷が続き、BMWがもともと欧州市場向けに生産した車両数万台を米国市場や中国市場に送り込むとともに、業務の重心を中米両国に移していることがある。ロバートソン氏によると、中国市場の鈍化と欧州市場の鈍化とではレベルが異なり、BMWにとって中国市場にはなお強い吸引力があるという。ある統計によると、今年9月のBMWの中国での販売台数は2万9631台に上り、前年同月比59%増加し、増加率はライバル他社や業界全体の水準を大きく上回った。また1-9月の販売台数は23万7千台で、2011年の販売台数を超えた。
大量の欧州在庫車が流入したため、BMWは中国市場で輸入車の大幅な値引きを実施している。7シリーズ車はすべて10万元のキャッシュバック対象とし、X5シリーズ車は最大17万元の値引きをした。だがBMWは欧州在庫車の「ダンピング」の先駆けではない。早くも今年初め、ベンツが4S店(販売、部品提供、アフターサービス、情報フィードバックを手がける総合的サービス店舗)の一部でSシリーズ車を対象に30万元を値引く投げ売りをしている。このような「期限付きの販売促進」は欧州からやってきたやり方で、中国の高級車市場で「価格戦争」を引き起こしている。