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japanese.china.org.cn |25. 07. 2018

脳機能強化ヘッドセット、中国の科学者が開発中

タグ: 脳機能強化ヘッドセット


研究者が「超脳増強システム」ヘッドセットを装着中(新華社より)。


 中国人科学者が開発中のヘッドセットは脳波を観測・調節し、AIアルゴリズムと結びつくことで、フィードバックと調節が可能な脳機能補助・増強技術を実現する。


 深センで開かれた第1回「率先杯」未来技術革新コンクールに於いて、中国科学院深セン先進技術研究院の蔚鵬飛副研究員が率いるチームが行う同研究が、30の優勝プロジェクトの一つに選ばれた。


 蔚氏によると、この「超脳増強システム」と呼ばれる脳機能調節ヘッドセットは、近年登場した無侵襲脳刺激・調節技術に基づく。その原理はこうだ。柔軟性電極センサーを使い、脳波が脳内で各種任務を遂行する際の変化を識別し、さらに電極の組み合わせにより微弱の電流パルスで刺激し、脳の特定エリアに到達する。脳波の活動を変化させ、脳の神経細胞の活動状態を調節する。



蔚鵬飛氏が、チームが開発した脳機能調節ヘッドセットを紹介。


 蔚氏によると、同技術は特殊人員の技能訓練、学習・記憶力の急速な向上、強いストレス環境における焦燥や緊張への干渉及び緩和などに用いられる。医療分野では、児童の多動症、うつ、認知症、失語症、パーキンソン病などの機能異常、肢体不自由、認知障害への干渉に用いられる。


 蔚氏は「脳組織が非常に複雑であるため、同技術はまずコンピューターで脳のモデリングを行い、それから刺激する部位とデータを確定する。さらに電極を使いこの部位を電流で刺激することで、干渉と調節の効果を発揮する。このヘッドセットはAIアルゴリズムにより脳の活動状態をリアルタイムで読み取り、刺激データのマッチングと推薦を行うことで、正確なカスタマイズ調節を実現する」と説明した。


 「実験と研究により、我々は注意・認知、感情調節、焦燥、禁断症状の発症、ストレス、てんかんなどの脳機能障害に関連する特定の部位を明らかにした。将来的にこれらの部位に効果的に干渉したい」


 他にも研究チームは、各種の相互型脳力訓練・検査任務を開発した。これは人の認知能力のテスト、認知症のスクリーニングに用いられる。


 例えばある訓練・検査では、ヘッドセットを装着した被験者が15分ごとに数字、アルファベット、単語などを暗記した。その後の検査によると、被験者の2時間内の平均正解率が向上した。




 蔚鵬飛氏のチームが開発した、脳機能調節ヘッドセット(新華社より)。


  蔚氏は「現在のデータは一部のテスト結果に過ぎない。量産化前にさらに、各種年齢層や組別の、大量のブラインドテストを行い、信頼できるデータを十分に蓄積しなければならない」と語った。


 研究チームはすでに、第1世代ヘッドセットの試作品の開発を完了しており、大脳皮質の脳波のフィードバックと調節が可能だ。第2世代は開発中で、より深い部位の無侵襲刺激の実現を目指している。


 チームはさらに一部の病院と提携し、自閉症、精神分裂症、児童の多動症などの臨床試験を行っている。



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年7月25日