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japanese.china.org.cn |30. 12. 2018

北京、上海、深圳がトップ3 中国都市総合発展指標2018が北京にて発表

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   中国国家発展改革委員会発展計画司と雲河都市研究院が主催する「中国都市総合発展指標2018フォーラム」が20181227日、北京市で開催された。会議では「中国都市総合発展指標2018」報告書が発表された。報告書は環境・社会・経済という3つの軸から、中国のすべての地級市以上の都市(298都市)を評価した。

 

 同報告書は中国国家発展改革委員会発展計画司と雲河都市研究院が共同作成。2016年の「メガロポリス発展戦略」、2017年の「中心都市発展戦略」というテーマに続き、2018年の報告書は「大都市圏発展戦略」に焦点を絞った。中国の大都市圏の発展の現状、直面している課題を整理し、論じた。


 報告書によると、<中国都市総合発展指標2018>総合ランキングでは、昨年同様、北京、上海、深圳がトップ3となった。4−10位は広州、天津、杭州、重慶、成都、南京、武漢となった。


 「環境」大項目のトップ3は、これも昨年同様に深圳、三亜、海口。4−10位は普洱、北京、アモイ、広州、上海、福州、重慶となった。北京はPM2.5の状況改善により順位を上げた。


 「社会」大項目のトップ3は、やはり昨年同様北京、上海、広州。4−10位は杭州、天津、重慶、成都、深圳、武漢、南京であった。


 「経済」大項目のトップ3も昨年同様で、上海、北京、深圳となった。4−10位は広州、天津、蘇州、成都、杭州、重慶、武漢であった。

 

各機能が高度に大都市に集中

 

 <中国都市総合発展指標>専門家委員長の周牧之東京経済大学教授は、報告書を発表するにあたり「各指標を総合的に見ると、中国では、各種機能が大都市に高度に集中する傾向があり、都市の二極化が非常に顕著だ」と指摘した。

 

 GDP規模で見ると、上位30都市が全国GDPに占める比率は42.5%となっている。メインボード上場企業数を見ると、上位30都市が全国に占める比率は69.7%で、うち上位3都市は全国の39.6%を占めている。製造業輻射力を見ると、上位30都市の貨物輸出が全国に占める比率は74.9%に達している。空港利便性を見ると、上位30都市の旅客取扱量は81.3%にのぼる。コンテナ港利便性を見ると、上位30都市のコンテナ取扱量は97.8%に達した。高等教育輻射力を見ると、上位30都市の“211大学”・“985大学”(中国トップ校)の数は全国の92.8%をも占めている。医療輻射力を見ると、上位30都市の“三甲病院”(トップ級病院)の数は全国の約50.2%にのぼる。

 

中国都市発展の質的向上のキーはDID

 

 報告書の大きな特色の一つは、「人口集中地区(DID)」という概念を導入し、中国都市発展の質を分析した。報告書は人口が1平方キロメートル当たり5000人以上の地区をDIDと定義し、DID人口と主要指標との相関関係を分析した。その結果、DID人口と都市発展の活力及び品質の間に、極めて高い関連性があることを確認した。

 

 周牧之氏は「中国では人口規模・密度が都市の環境及びインフラに及ぼす負荷を過度に強調しており、高密度人口が都市発展活力の重要な基礎であるとの認識に欠けている。中国は今後この誤った認識を正し、DIDの規模と質の向上を通じて都市の活力を高めるべきだ」と指摘した。

 

中国では人口の都市化より都市エリアの拡張が速い

 

 周牧之氏は「中国経済の真の大発展は21世紀以降に起きた。その大発展を促した2つの原動力は、WTO加盟後の国際貿易と都市化だ」と述べた。

 

 報告書は2000−16年の中国都市化の重要指標を分析した。分析によると、この期間に中国の実質GDPは約4.3倍に、都市部市街地面積は約2.8倍に膨らんだ。しかし、DID人口は僅か20%しか増加しなかった。周牧之氏は「土地の都市化のスピードが人口の都市化のそれをはるかに上回っていた」と説明した。

 

 またこの期間中、中国の一人当たり実質GDPが約3.9倍になった。GDP単位あたりのエネルギー消費量は40%減少し、GDP単位あたりのCO2排出量は30%減少した。しかし1人あたりのエネルギー消費量が大幅に増加し、1人あたりの電力消費量は4.3倍になった。その結果、CO2排出量が約3.1倍に激増し、中国は世界最大のCO2排出国になった。周牧之氏は「中国は経済発展と都市建設のクオリティを高める必要がある」と指摘した。

 

北京 VS 東京

 

 報告書は人口、GDP、CO2排出量、PM2.5など指標について、東アジア2大都市圏である北京都市圏(北京)と東京都市圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)を比較分析した。それによると、北京市の面積は東京都市圏の約1.2倍であるが、常住人口とDID人口はいずれも東京都市圏の約60%に留まる。北京のGDP規模は東京都市圏の3割程度で、1人あたりGDPも半分前後となっている。しかし北京のGDPあたりエネルギー消費量は東京都の7.4倍で、単位当たりGDPのCO2排出量は東京都市圏の4.7倍となっている。その結果、人口とGDPの規模で東京都市圏を大きく下回る北京だが、CO2排出量はその1.2倍となっている。

 

 周牧之氏は「東京都市圏と比べると、北京は都市圏発展戦略の実施を通じ、DID空間構造、経済構造、ライフスタイルを改善し、資源効率を高めるべきである」と話した。

 

中国の都市を理解する枠組み

 

 上海浦東新区管理委員会で初の主任を務めた中国国務院新聞弁公室元主任の趙啓正氏はフォーラムへのメッセージの中で、「報告書は都市を理解する新たな理念と枠組みを提供した。これは中国の市長にとって極めて役立つ参考書だ」と指摘した。

 

 趙啓正氏はまたメッセージの中で、人の健康を多くの重要指標で測るのと同じように、都市という「大きな体」も指標で測るべきだとした。

 

 趙啓正氏はまた、「今日の中国都市建設は、<中国都市総合発展指標>が提供する理念、合理性と総合性の枠組みを必要としている。これは時代の呼び声だ」と述べた。

 

 <中国都市総合発展指標>専門家委員会の首席専門家、中国共産党中央財経領導小組弁公室元副主任の楊偉民氏がフォーラムに出席した。楊偉民氏は、「報告書は環境・社会・経済という3つの軸から都市の発展を評価し、どの都市が比較的健康で、どの都市がどういった問題を抱えているかが分かる。その意味では指標は、都市の進むべきディレクションを示した」と述べた。

 

 北京大学教授の周其仁氏、中国国土資源部(省)元副部長の胡存智氏、中国統計局元局長の邱暁華氏、中国国家戦略新興産業発展委員会秘書長の杜平氏、中米グリーンファンド会長の徐林氏、国家統計局社会科学技術文化産業司司長の張仲梁氏、中国国家発展改革委員会発展計画司副司長の周南氏など、都市問題専門家及びメディア関係者50人以上がフォーラムに出席した。

 

  <中国都市総合発展指標>の2016年版と2017年版の日本語版は、すでに各々『中国都市ランキングー中国都市総合発展指標』と『中国都市ランキング2017―中心都市発展戦略』のタイトルで、NTT出版から刊行された。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年12月30日