2018年11月15日に喜洲鎮で撮影された洱海(ドローンで撮影)。
雲南省大理ペー族自治州環境観測ステーションの2018年12月20日の観測結果によると、12月の洱海全体の水質はⅡ類だった。月間ベースでⅡ類を維持したのは今年7回目で、2015年ぶりの高水準となっている。
これは洱海の汚染対策が段階的な成果を手にしたことを意味する。湖周辺には近年、飲食店が増えており、拡散汚染の「高熱」が下がっていない。「高原の明珠」の洱海はどうなったのか、洱海はどうすべきかという警鐘が鳴らされている。
「貧」から「富」に、鳴り止まない警鐘
洱海は1980年代より、貧栄養湖から中栄養湖に、中栄養湖からさらに富栄養湖に変化した。
残念ながら、保護と対策は汚染のペースに追いつかなかった。特に6−7年前に大理市の洱海を一周する旅行が流行し、民宿や飲食店が「荒削り」に成長した。
大理市双廊鎮党委書記の娄増輝氏は「2016年末までに、双廊鎮中心地の約1平方キロメートルの範囲内だけでも、飲食店と民宿が580軒以上に達し、観光客数が延べ320万人以上にのぼっている」と話した。
洱海流域の環境収容力は最大50万人だ。洱海をめぐる旅行に参加する観光客数は、2014年に918万人、2015年に1028万人、2016年に1500万人に達した。さらに洱海流域の80万人の人口が加わり、この上限をはるかに上回っている。
湖に入る汚染物質も同時に増加した。権威ある調査によると、2016年の洱海流域の汚染物質排出量は、2004年と比べ50%以上も増加していた。
基準を上回る窒素とリンの濃度は、洱海の水質悪化の主因だ。蒼山洱海には村々が点在し、よく肥えた土地は四季を通じて青々としている。ここは大理ペー族自治州の伝統的な食糧生産エリアだ。
大理ペー族自治州農業局副局長の李月秋氏によると、洱海流域では昨年も面積12万ムーのにんにくが栽培された。にんにくに使用される化学肥料の量は、そら豆や稲などの作物の2−3倍だ。
各種要因により、洱海では1996年、2003年、2013年に藻の大量発生が生じた。水質は中栄養から富栄養への「転換点」を迎えた。2016年末まで、水質悪化に歯止めがかからなかった。
開発の「一時停止」ボタンを押し、保護を「早送り」
雲南省は2016年11月に緊急保護活動を開始し、洱海汚染対策の攻略戦を全面的に開始した。大理ペー族自治州は洱海保護の「7大行動」を直ちに実施した。
昨年3月に「最も厳しい改善命令」が発表され、洱海流域の飲食店・民宿2400軒以上に対し「一時停止」ボタンを押した。
中央環境保護督察委員会の要求に基づき、洱海の汚染対策がさらに加速した。今年5月30日に洱海生態環境保護の「3ライン」が画定・実施された。洱海周辺の1806世帯の生態立ち退き・補償を行い、同時に5800ムー以上の洱海周辺生態湿地及び緩衝帯を建設する。
「3ライン」を画定するため、喜洲鎮の2軒の民宿が撤去された(2018年11月15日にドローンで撮影)。
拡散汚染の対策を同時に行う必要がある。大理ペー族自治州は今年8月、にんにく栽培禁止などの行動を実施し、農業のグリーンなモデルチェンジを加速した。
推算によると、今年の洱海流域のにんにく栽培禁止面積は10万ムーに達する。窒素・リンを含む化学肥料の使用量は、前年比で8割以上減少する見通しだ。
作業員が水生植物の手入れをし、洱海の水質を維持(2018年11月16日撮影)。
大理ペー族自治州洱海流域保護局長の段彪氏は、「湖全体の水生植物面積は、この15年で最大となっている。今年1−9月の洱海汚染輸入量は前年同期比17.5%減となった」と説明した。
魂を留め、高品質発展の道を歩む
洱海周辺の汚染対策設備の使用に伴い、流域の生活汚水の全収集・全処理が実現されている。今年9月より、規定に合致する一部の民宿が営業を再開している。
「3ライン」を画定するため、労働者が喜洲鎮の民宿を撤去中(2018年11月15日撮影)。
蒼山洱海は風光明媚の地で、民宿は詩的な風情を楽しもうとする旅人の宿りだ。経営者の多くが、大理の「魂」を愛している。
大理ペー族自治州観光発展委員会副主任の席玲氏は「3ラインの確定により立ち退きになる民宿の経営者に対しては、蒼山洱海地区から自治州内の別の観光地への拡散を促しており、これにより魂を留める」と述べた。
洱海を長年研究している上海交通大学雲南(大理)研究院副院長の王欣沢氏は「洱海の水質が全体的に安定しつつ好転する転換点がまだ見られない。高原の湖沼の保護と対策には長期的な取り組みが必要だ。洱海に時間を与え、根気よく見守って欲しい」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月5日