10年連続世界一も自動車販売数減 どう見るか

10年連続世界一も自動車販売数減 どう見るか。

タグ:経済指標 自動車産業

発信時間:2019-01-19 09:00:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 2018年、中国の自動車販売台数は世界一となったが、28年ぶりにマイナスに転じた。業界の主要な経済指標も減速している。しかしそれ以外の面からみると、自動車産業は依然として良好な部分がある。たとえば国産ブランドの存在感アップだ。また、スマート化やシェア自動車、自動運転、自動車サービス業など新業態・新技術・新ビジネスモデルが発展しており、新エネルギー車産業も急速に発展している。長期的に見ると、中国の自動車保有台数は先進国の水準よりはるかに少ないため、発展余地はまだまだ大きいといえる。


 中国自動車工業協会は1月14日、2018年度自動車販売データを発表した。2018年の自動車工業は全体的に安定しており、政策やマクロ経済の影響から、生産販売台数は年初の予測より少なかった。年間自動車生産台数と販売台数は、それぞれ2780.9万台(前年比4.16%減)と2808.1万台(同2.76%減)だった。


 同協会の陳士華秘書長補佐は、「2018年度データからみると、我が国の自動車販売台数は10年連続で世界一であるが、28年ぶりにマイナス成長となった」と述べる。


販売台数低下をもたらした様々な要素


 同協会の許海東秘書長補佐は、「2018年の自動車販売台数の減少は、マクロ要素も市場要素も関係がある。マクロでみるとGDP成長率の微減、経済構造の分化傾向、投資と消費の双子の減速、中米貿易摩擦、不動産の在庫調整が挙げられる。他方、市場要素では政策による先食い、中古車販売の波、第六弾となる排気量基準の実施、消費の変化などの影響が挙げられる。これらが自動車販売に一定のブレーキをかけた」と説明する。


 全国乗用車市場信息聯席会の崔東樹秘書長は、「2018年の自動車販売台数がマイナスに転じた主因は、2・3線都市および中西部市場、特に北方市場が低迷し、景気への信頼感が低かったためだ」と述べる。


 国務院発展研究センター産業部の周毅副研究員は、「昨年12月の自動車生産販売台数は、最終的に予想を下回った。程度差はあれ、各車種ともにマイナスに転じた。これは2017年に車両購入税優遇政策による先食い需要があったこと、そもそも高い増加率だったこと、経済減速があったこと、中米貿易摩擦の影響における不確定性があったことなどが重なり合った結果だ」と説明する。


 同氏は、「それほど慌てる必要はない。歴史的データからみれば、中国がWTOに加盟して以降、自動車販売台数は3度、大幅に下落したことがある。その後は、様々な政策や他の要因から急速に持ち直している。つまり周期的な波を示しているにすぎない」と分析する。


なお注目される新エネルギー車


 2018年後半、乗用車販売が低迷する中、新エネルギー車が依然として注目され、販売台数もうなぎ上りだった。


 データによると、2018年の新エネルギー車の生産台数と販売台数はそれぞれ127万台(前年比59.9%増)と125.6万台(同61.7%増)だった。うち純電気自動車の生産台数と販売台数はそれぞれ98.6万台(同47.9%増)と98.4万台(同50.8万台)で、プラグインハイブリッド車は28.3万台(同122%増)と27.1万台(同118%増)。燃料電池車は、生産台数と販売台数が共に1527台だった。


 工業情報化部は現在、2019年の新エネルギー車補助金政策をまとめており、補助金がさらに下がる影響がある。ただ原則2021年に補助金政策がすべて終わり、それ以降は産業に大きな波は発生せず、段階的にソフトランディングするとみられる。


 北京新場科技有限公司の創業者である王彦敏氏は、「政策と資本の両輪により、2018年の成長は想定内だ」と述べる。

 中国自動車動力電池産業創新連盟の王耀副秘書長は、「補助金政策の懸念が払しょくされれば、この成長は持続するだろう。しかし政策が決定して後、毎年生じる波によっては、生産台数と販売台数は減少するかもしれない。経験的にいえば、中国は世界の半分以上を占める新エネルギー車市場であり、2019年は20%~30%の増加もあり得る」と述べる。


市場低迷がしばらく続く懸念も


 工業情報化部の苗圩部長は先日行われた「中国電気自動車百人会フォーラム(2019)」で、「2018年の自動車産業は様々な要因で市場が低迷した。しかし長期的な発展ビジョンは変わらない。我が国の新エネルギー車産業の発展は依然として良好な見通しだ」と述べた。


 新たな1年は、引き続き国家レベルの政策的支持がある。国家発展改革委員会の寧吉喆副主任は1月8日、「2019年は自動車消費促進の措置が制定されるだろう」と述べている。また措置を都市から農村に拡げて農民の消費を促すとも発言しており、業界では「自動車を農村へ」政策が再び始まるとの見方が強まっている。


 周毅副研究員は、「短期的にみると、政府が自動車消費を促す政策の制定に着手しており、2019年はある程度のリバウンドがある」と述べている。


 中国自動車工業協会の師建華副秘書長は、「2019年の市場競争はさらに激化し、圧力も極度に高まる。国産ブランドも大変な時期を迎えるだろう。しかし、別の角度からみれば、もっと自信を持つべきだ。このような巨大市場では調整が付き物。専業に注力する自動車メーカーは必ず窮地を抜け出すことができる」と述べる。


 同氏は「自動車メーカーは良い製品を作り出す努力をし続けるべきだ」と続ける。「吉利、長城、広州汽車といった国産ブランドは、優秀な品質だからこそ市場で勝ち、ブランド力を高めたのだ」。


「中国網日本語版(チャイナネット)」2019年1月19日

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