肉牛、ミミズ、肥料……46歳のトゥチャ族の郎興英さんは、農村に関係がないようなこれらのものが、今では1つのチェーンを繋ぎ、農業汚染問題を解決し、経済効果を生み出すとは思っていなかった。
郎興英さんが暮らす貴州省徳江県煎茶鎮川岩村は武陵山の広域特殊困難地区に位置し、どの家庭も牛を飼育している。牛とミミズに関係性はなさそうだが、牛糞はミミズが最も好む食品である。
郎興英さんは、「以前は農村の道のいたるところに牛糞があり、牛糞にミミズがいるのを偶然見かけ、インターネットで検索し、牛糞がミミズの飼育に適していることを知った」と述べた。
2013年、彼女はミミズ養殖市場に目をつけ、5万元の自費で湖南省常徳市に技術を学びに行き、種苗を導入して故郷で発展させた。
郎興英さんが経営する養殖場に入ると、牛糞が並んでいるのが目に入った。彼女が牛糞をどかすと、ミミズが動いている。郎興英さんによると、養殖場の5ムーでミミズを養殖し、通常30日で出荷できる。ミミズは魚釣りの餌に使用され、現在は供給不足となっており、2019年の生産高は約30万元だった。
それだけでなく、ミミズが牛糞を消化して発生する排泄物は、集めて果樹園や茶畑に運搬し、優れた有機肥料になる。郎興英さんによると、今年、このような有機肥料は60トン売れ、1トンあたりの価格は500元になる。
ミミズ養殖規模の拡大に伴い、牛糞が不足し、彼女は2016年に牛の養殖を始めることを決めた。体格のいい肉牛を飼育するにはまぐさが必要である。郎興英さんは、「牛を養殖するのは牛糞を利用し、現地調達してミミズを養殖するため。現在35頭の肉牛を飼育し、1つの産業になった」と話す。
今では、「肉牛・牛糞・ミミズ・有機肥料」という循環農業形式を通し、周辺の村落の牛養殖業者が「加盟」し、ミミズ養殖技術を学ぶだけでなく、5人の現地農民の近所での就職も後押しした。
56歳の梁祖成さんの2人家族は病気で貧困になった。ここ数年、彼は郎興英さんの牛用の草刈りや牛糞集めを手伝い、農業をするより楽になり、1日80元の収入があり、子供を世話する時間もできた。
煎茶鎮畜牧ステーションの魯国権所長によると、全鎮に30軒以上の肉牛養殖場、6軒のミミズ養殖場がある。ミミズ養殖は、肉牛養殖で発生する糞による環境問題を解決するだけでなく、各商品の付加価値も向上させ、山地の循環農業発展の促進につながる。
徳江県復興鎮のある農牧発展有限公司は、2016年に浙江省温州市から復興鎮に来て肉牛産業を発展させた。同社の生産責任者の張存良氏によると、昨年の同社の肉牛出荷数は4000頭に達し、牛糞は1トンあたり約35元で周辺地域に肥料として販売し、今年は郎興英さんの循環農業発展方式を参考にし、50ムーでのミミズ養殖を計画している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年5月16日