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japanese.china.org.cn |30. 12. 2020

変わる中国経済発展モデル 技術導入から自主イノベーション

タグ: 中国経済

2020年が過ぎ去ろうとしている。新型コロナウイルス感染症の猛威を振り返るだけで、この同じ重要な時期に社会に起きた転換を見ないのであれば、この年を真に理解したことにはならないだろう。

欧州情勢は依然として混とんとしていて、ロシアなどの国々の経済が回復するにはまだ長い道のりが待ち構えている。また、日本の新政権がいかなる方式で経済復興への一歩を踏み出すのか、デジタル庁の新設以外に何ができるのか? 米国は大統領選挙の過程で政治制度の「金属疲労」を露呈した。

この間、中国にいた筆者が深く感じたのは、単に新型コロナ発生後のオンライン経済に起きた変化ではなく、国家全体の改革開放継続の決意と意志だった。国際環境の変化だけでなく、中国には改革開放40年余りの蓄積があり、これによって、中国は新たな道へ導かれる。それは改革開放の道であると同時に、自主イノベーションを強調し、さらに広範な分野で世界経済の発展のために貢献することだ。

経済技術システムの構築から見て、自主イノベーションの重要性はますます増している。

 

技術導入と密接な革新

中国経済の発展と技術導入には密接な関係がある。1978年に始まった日本の近代的な鉄鋼生産技術の導入だけでなく、宝山製鉄所建設の決定、さらに90年代に日本から導入した日本の大量の家電生産ラインは、中国人の日常生活の様式を根本的に変えた。日本の鉄鋼生産技術や家電の生産管理方法は、日本にとっては単なる技術の一種にすぎなかったが、中国に導入されてからは、日本にはなかったイノベーション効果を生み、中国の経済発展モデルを根底から改変し、最終的に中国を世界最大の鉄鋼、家電の生産国に変身させた。21世紀に入ってからは、さらに世界最大の自動車生産国、消費国に衣替えさせた。もし70年代末期の改革開放政策が決定されなければ、今日の中国は、依然として工業化の方法を模索している状態だった可能性がある。

一方、世界最大の鉄鋼、家電、自動車の生産国になってから、中国は自前の産業基盤で、世界経済の発展にどのような貢献をするか。これがここ数年、中国のメディアや学界で常に議論される問題になっている。われわれが見ることができるのは、情報技術(IT)プラットフォーム上での中国の努力の跡だ。それにはBATH――百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)、華為(ファーウエイ)のプラットフォームが中国経済のために果たしてきた貢献も含まれる。しかし、中国経済の発展はここに限定されているわけではなく、さらに大きな発展の余地が残されている。

 

必然の産業チェーン再構築

国と国との経済関係の人為的な分断(米国はハイテク方面でのデカップリングを主張し、日本は政府の方針でファーウエイを国内の一部業務から事実上排除している)は、国際政治におけるここ1、2年の重大な変化だ。だが、こうした変化がなくても新型コロナの到来で、地域的な産業チェーンに大きなねじれ、断裂が起きた。現在、産業チェーンの再構築はある種の必然となっている。

産業チェーンの安全保障問題はますます各国で重視され始めている。新型コロナのまん延は産業チェーンを断裂させ、一部の国は政治的に中国の産業との「デカップリング」を要求し、あるいは中国の一部の企業に対して、「排除」政策を取っており、産業チェーンの変化に加えて、同時に中国経済の発展を制限する意図(中国では「首を絞める(急所を突く)」と呼ぶ)も否定できない。これは逆に言えば、中国に対し、技術導入と技術提携による技術イノベーション路線を修正し、西側の一部の国々による核心的な技術に対する独占を全力で打破し、産業チェーンが構成する「首絞め」問題を解決し、「重要分野」での全産業チェーンで自主的に運営できる構造の構築を迫っている。

今後5年(21~25年)の第14次五カ年計画(「十四・五」)や、今後15年(35年まで)の中長期発展計画、今後30年前後(2049年の中華人民共和国成立100周年)と、中国経済はどのように発展すべきか。中国も自主的な科学技術を強調し、コア技術のボトルネックを突破し、新たなイノベーションの道を歩むしかない。

同時に、中国は決して開放規模を縮小せず、国内・国際の「双循環」の促進を重視している。一方、筆者は以下の点に注目している。中国は「国内の大循環を主体とする」内需振興を改めて強調し始め、外部からの挑戦やデカップリングの圧力に対応するために、引き続き質の高い「一帯一路」建設を推し進めようとしている。

中国の自主イノベーションと国内外市場の緊密な結合は、かつてと比べて規模はさらに拡大され、イノベーションのスピードはさらに上がり、影響力はさらに広がるに違いない。

 

山西省の太原衛星発射センターから11月6日、運搬ロケット「長征6号」により国内外の人工衛星13基が打ち上げられ、中国の宇宙開発への意気込みと技術の高さを証明した(asianewsphoto)

 

グリーン発展は両国一致

中国は新技術・イノベーション実現の時代に、グリーン発展と二酸化炭素(CO2)排出量の削減を重視し、60年までにCO2排出量と吸収量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを実現する。日本政府は、中国よりも10年早く50年にカーボンニュートラルを実現する目標を発表した。中日両国が環境適合型の経済モデルに入る時期は前後するが、やり方は異なっても目標は一致している。

グリーン製造やCO2排出量削減で、中日企業は多くの提携を行い、共同で両国の経済目標を実現するために関連技術の開発が可能だ。こうした新たな開発は中日両国に有利であり、世界経済にも福をもたらす。

デジタル経済重視についても、中日にそれぞれ同工異曲の特長が現れている。中国は巨大なITプラットフォームを擁し、日本には100年にも上る製造技術があり、デジタル経済により中日両国はITプラットフォームと産業製造で手を携えて進むことができる。

今年われわれは、中国が技術導入を主とする方向から自主イノベーションの方向・安全な産業チェーンの方向に転じるのを見るだけでなく、中日の経済協力の新たな方向も見ることができた。中国の研究開発の従事者は日本の数倍いて、資金も潤沢だ。一方、日本には長年の蓄積があり、研究開発と産業が密接に結合している。両国が各自の特長を生かし、研究開発・イノベーションをさらにスピードアップすることで経済・社会に貢献できる。

将来を展望すると、国際情勢は激動し不安定だが、中日両国は経済発展のモデル転換を通し、研究開発・イノベーションの分野において、新たな提携がさらに増え、さらに頻繁になるだろう。 


「人民中国日本語版」2020年12月30日