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japanese.china.org.cn |23. 02. 2021

「自由貿易」維持へ協力強化=楼継偉委員

タグ: 自由貿易

   

第13期全国政協常務委員・外事委員会主任 楼継偉=文


    新型コロナウイルス感染症のまん延で、今年の国際情勢は依然として不確定要素にあふれている。今後しばらくは、予防・抑制対策をしっかり行うと同時に、いかに自由貿易体制を守り強化し、グローバル経済の回復を後押しするかが、国際社会が直面する変わらぬ共通課題となるだろう。


   一つ救われるのは、感染症が各国の社会や経済秩序に大きな混乱をもたらしたものの、国際的な経済・貿易協力はストップしていないことだ。


   東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドは昨年11月15日、正式に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に調印した。これは、アジア太平洋地域に世界で最も参加人口が多く、メンバー構成が多元的で、成長の潜在力が最も大きな自由貿易圏の誕生を意味するだけでなく、次の段階で中日二国間の貿易協力メカニズムを切り開き、ひいては中日が第三国市場での協力の基礎を築いたことを意味する。


   周知のように、トランプ政権はここ数年、米国第一主義の政策を進めており、既存の国際秩序やルール、特に自由貿易体制に深刻な打撃を与えた。バイデン政権の発足に伴い、米国はグローバルな協調路線に再び戻るかもしれない。だが中日両国は、世界第2、第3の経済大国としてRCEPを推進し調印し、共同で自由貿易体制を維持し促進するという明確なシグナルを国際社会に発信した。これも国際協力を貫く信念と原動力をもたらすだろう。


   世界のガバナンスシステムと関連の国際組織には、確かにある種の欠陥が存在する。中国は、国際社会は協力を通して関連するメカニズムを共に整備すべきで、各国がそれぞれ勝手に行動してはならないと一貫して主張している。感染症対策や経済回復を実現するには、国際協力は常に欠かせない。


   党中央政治局常務委員会は昨年5月14日、会議を開き、初めて「国内・国際の二つの循環(双循環)の相互促進による新たな発展構造の構築」という戦略的な政策決定を打ち出した。日本でも「双循環」はしばらく話題になった。


東風ホンダの武漢工場では昨年、新型コロナの感染拡大の影響で、生産ラインが一時は50日以上も操業停止した。3月16日に操業再開後、同工場のピーク時の生産能力は1日3000台を上回るまで回復した(cnsphoto)


   実は、「双循環」発展構造の構築について、日本は中国が参考にすべき豊富な経験を持っている。1970、80年代の日本は、企業が全世界から大量の商品を買い付け、技術導入を強力に進めた。また、技術の「導入・消化・吸収・再革新」を行い、自国の高水準の製造業を発展させ、国内に高度の産業チェーンを配置し、国内のニーズを満たす製品を製造すると同時に、全世界に販売して巨額の貿易黒字を生んだ。


   これは、内部循環を主とし外部循環を従とする「国内・国際の双循環」だ。だが、貿易摩擦と為替レートの変化などの原因により、日本は長いモデルチェンジと改革を始める。


   中国は、40年余りにわたる改革開放を経て、国内の大循環を主とし国際と国内の双循環が相互に促進する、大規模で開放された経済を基本的に作り上げた。「双循環」という発展構造が国家戦略の政策決定というレベルに格上げされたことに伴い、中国は知的財産権の保護や独占禁止措置の強化、金融市場の開放など、相応する一連の制度やシステムの改革を加速させる。また、国内の需要と供給のあらゆる分野を動員し、対外開放をさらに拡大し、内外の循環の有機的な結合を促進する。その時、中国市場は巨大な改革のボーナスをさらに放出するだろう。そして、日本企業も含め中国市場に深く参入する国内外の企業は、全て広範な利益を得るだろう。


   中日は昨年、RCEPを通して経済協力の大きな一歩を踏み出した。私は今年、両国がさらに一歩進めて、二国間経済・貿易協力や中日韓自由貿易協定(FTA)の交渉から「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)の協力などの分野で明らかな進展があることを期待している。両国の経済・貿易協力の強化は、世界経済の早期回復も力強くけん引するだろう。


人民中国インターネット版 2021年2月23日