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japanese.china.org.cn |10. 03. 2021

コロナ下で成長続く「一帯一路」

タグ: コロナ 一帯一路

   新型コロナウイルス感染症の感染拡大以来、国際社会は中国が提唱し、積極的に推進してきた「一帯一路」の建設と発展の状況に高い関心を示している。中には、「一帯一路」の債務問題に関心を示す人もいれば、「一帯一路」の発展途上国の石炭発電所建設プロジェクトへの投資に注目する人もいる。欧州のメディアには、昨年の中国の「一帯一路」への投資が大幅に減少したと報じるところさえあった。コロナ下の「一帯一路」の発展の状況とすう勢は果たしてどうなっているのか。


投資規模が大幅に拡大


   昨年の中国の「一帯一路」沿線諸国の非金融分野の直接投資総額は177億9000万㌦に達した。2019年の150億4000万㌦と比べ、昨年の投資規模は縮小どころか、むしろ27億5000万㌦、18.3%増加した。それに伴い、中国の「一帯一路」沿線諸国への投資が対外投資総額に占める割合も、19年の13.6%から昨年は16.2%に上昇した。


   13年の秋に「一帯一路」イニシアチブが打ち出されて7年余り。中国の「一帯一路」沿線諸国の非金融分野の直接投資は1047億2000万㌦に上り、年間平均の投資額は149億6000万㌦に達した。


   これらの事実が証明するように、新型コロナによる不利な影響にもかかわらず、昨年は同イニシアチブの提起から7年で中国の「一帯一路」沿線諸国に対する非金融分野の直接投資が最も多い1年となった。


   プロジェクトの面から見ると、新型コロナの世界的な大流行が始まった初期段階では、一部の「一帯一路」建設プロジェクトは確かに一時的に操業停止を余儀なくされたが、そのほとんどはすぐに再開された。それだけでなく、感染拡大の状況が最も深刻だった時期においても、中国は関係諸国と協力して、たとえばハンガリー―セルビア鉄道のハンガリー区間や、パキスタンのコハラ水力発電所などの新たな建設プロジェクトをスタートさせた。


   また、中国の企業は昨年、日本とフランスの企業とカタールで初の非化石燃料充電ステーションを建設する契約や、ウガンダと太陽光発電所を建設する契約を結んだ。


   要するに、中国が関係諸国と「一帯一路」を共に建設する決意は確固たるもので、感染症やその他の突発的なことの影響にも何ら変わることはない。中国がサウジアラビアやエジプト、ハンガリー、カンボジア、フィリピンなどの国々と共に多国間金融協力センターを立ち上げ、第三国市場でのより大きな協力の可能性を積極的に切り開くにつれ、中国と関係諸国の「一帯一路」建設プロジェクトへの投資は全体的に増え続ける勢いを見せている。



   中国の長江三峡グループの投資で建設されたパキスタンのコハラ水力発電所。設備容量は1124メガワットで投資総額は約25億㌦。同プロジェクトは、中国が海外で投資した水力発電所の中で最も規模が大きいだけでなく、中国・パキスタン経済回廊の枠組みで1件としての投資額も最大だ 

 

「一帯一路」参加国に債務危機なし


  「一帯一路」イニシアチブが打ち出されて以来、中国は確かに一部の沿線国に対する資金面の支援を増やしているが、当初から以下の三つの基本原則を貫いてきた。


   一つ目は、共に協議し、共に建設し、共に享受することを徹底する。関係諸国と共に建設プロジェクトとその資金調達について討議し、いかなる国のいかなるプロジェクトの建設も強制せず、また決して中国からの借金を強制しない。


   二つ目は、市場による主導と企業が主体となることを徹底する。中国企業と関係諸国の企業は、市場原則に基づいてプロジェクトの協力を行い、プロジェクトの資金も主に企業が多元化した国際融資やPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ、官民連携)融資などを含む国際資本市場から調達したもので、政府間の直接の借入金は少ない。


   三つ目は発展志向を徹底する。建設プロジェクトの選択は全てその国の発展戦略の必要に基づいて決め、プロジェクト完成後にその国の経済・社会の発展促進に重要で建設的な役割を果たせるよう確実に保証する。


   したがって、「一帯一路」の共同建設に参加したことで債務危機に陥った国は世界で一つもない。一部でよく取り上げられるスリランカのケースでも、同国の指導者が少し前に公言したように、同国の対中債務が自国の対外債務全体に占める割合はわずか12%で、しかも主に低金利の優遇融資だ。


   スリランカのハンバントタ港の建設プロジェクトについて言えば、中国企業が一定の資金を出し、市場ルールと公正取引の原則に基づいて同港湾の株式の70%を取得したことと、港湾とその周辺の土地を借りて工業団地を建設したことは、典型的な市場原理に基づく行為であり、政治化されるべきではない。


   中国は「一帯一路」を共に建設する構想を打ち出してから、債務の持続可能性問題を特に重視してきた。中国は「一帯一路」沿線の26カ国と協議し、17年に「『一帯一路』融資指導原則」に調印。また19年に中国財政部は「『一帯一路』の債務持続可能性に関する分析枠組み」を発表。債務リスクの管理能力と建設プロジェクトの経済効果の向上を図るため、「一帯一路」プロジェクトの債務持続可能性分析のプロセスと基準や、プロジェクト実施国の債務リスク分析、債務負担能力におけるストレステスト、債務リスク管理などに対する詳しい分析枠組みを打ち出した。


   期限通りに債務を返済するのが困難な国に対して、中国はこれまで友好的に協議する方法で問題を解決してきた。中国政府は昨年、アフリカ関係諸国への20年末に期限を迎える無利子貸付の返済をすでに免除している。さらに、新型コロナが発展途上国の債務に与える影響を軽減するため、中国は主要20カ国・地域(G20)の債務返済猶予措置を積極的に実行し、返済猶予総額は13億5300万㌦に達した。これは、G20の債務返済猶予総額の約27.5%を占め、G20の中で最も貢献の大きい国だった。

 

   中国による2億6000万元の特別融資と4000万㌦のアフリカ中小企業特別融資の契約に調印する中国国家開発銀行の王用生副頭取(左)とエジプト・アラブ国際銀行のハッサン・アブドル・マジド副頭取。これは、「一帯一路」の人民元特別融資プロジェクトが初めてエジプトで実施されたことを意味した(2017年9月17日、エジプトのカイロで) 

 

北京師範大学一帯一路学院執行院長 胡必亮=文 


プロフィール 
胡必亮
北京師範大学一帯一路学院執行院長、教授(経済学)、博士課程指導教員、「一帯一路」国際シンクタンク協力委員会理事。 


 

人民中国インターネット版 2021年3月4日