福建省福安市の「スマート茶園」で、病虫害をモニタリングする5Gカメラをチェックするスタッフ(写真=新華社提供)
中国情報通信研究院が発表したデータによると、2020年の中国におけるデジタル経済の規模は39兆2000億元に達した。さらに、中国は世界最大の固定インターネットとモバイルネットワークを作り上げ、5Gの発展で優位性を獲得しており、さまざまな新業態や新モデルが続々と生まれている。中国経済は規模の面で急速な成長を遂げ、世界第2位の経済体になっただけでなく、デジタル経済も中国の質の高い発展に新たな動力源を絶えずもたらしている。
貴州省貴陽市の貴陽順絡訊達電子有限公司は携帯電話用電子製品のサプライヤーであり、昨年以来約600台の生産設備で自動化生産と製品のデータ収集を実現している。同社の責任者は「もともとスタッフ1人で4台の設備しか制御できなかったが、スマート化してからは1人で20台の制御が可能となり、企業の生産能力は70%増加、コストは40%減少、収益は60%増加した」と語る。
福建省福安市坦洋村にある3800ムー(1ムーは約6.7アール)の「スマート茶園」では、スタッフがいつどこにいてもスマホを使って茶園の様子をリアルタイムでチェックできる。水やりや施肥も人の手で行う必要がなく、スマート灌漑システムは茶山の環境をベースとして、自動化灌漑とリモートコントロールを可能とした。
これらのことはデジタル経済の発展の縮図に過ぎない。中国共産党創立から100年間、中国は各カテゴリーを網羅した産業システムを徐々に構築してきた。同時に、5Gや人工知能、工業インターネットなどの次世代情報技術によって伝統産業のモデルチェンジとアップグレードが加速し、スマート工場、デジタル農村、デジタル行政などが続々と登場している。
前述の通り、2020年の中国におけるデジタル経済の規模は39兆2000億元に達し、GDP比で38.6%に達した。また、デジタル経済の成長率はGDP成長率の3倍以上で、経済成長を安定させる重要な原動力となっている。
具体的にみると、情報インフラは飛躍的発展を遂げ、デジタル経済の発展のためのしっかりとした基礎を築き上げた。中華人民共和国成立当初、中国の通信インフラは非常に立ち遅れていた。電話の利用世帯数は21万8000世帯で、普及率は1万人当たり5台に過ぎなかった。改革開放後に通信業の現代化が加速し、特に中国共産党第18回全国代表大会以降、中国は世界最大の固定インターネットとモバイルネットワークを構築した。なかでも5Gの発展で先行し、建設済みの5G基地局は合計81万9000カ所を超え、全世界の約70%を占めている。
インターネットの応用が急速に広まることで、オンライン教育やオンライン医療、テレワークなど、デジタル経済の新業態や新モデルが登場した。中国インターネット情報センターの統計によると、2020年の中国におけるオンライン教育とオンライン医療の利用者数はそれぞれ3億4200万人、2億1500万人となり、浸透率は34.6%、21.7%だった。
工業インターネットは石油、石油化学、鉄鋼、家電、アパレル、機械、エネルギーなどの業界で幅広く応用されている。工業・情報化部のデータによると、中国では現在までに、業界と地域で一定の影響力を持つ重点工業インターネットプラットフォームが100以上あり、それらとリンクしている設備は7000万を超え、工業用アプリの数は59万を超えている。
2021年は第14次五カ年計画(2021~2025年)の始まりの年であり、同計画では「デジタル化の発展を加速させてデジタル中国を建設する」という章が単独で設けられている。第14次五カ年計画が描く未来図に沿って、デジタル経済はより一層中国経済のモデルチェンジとアップグレード、そして成長方式の転換を促進し、経済・社会の発展に大きな原動力をもたらしていくことだろう。
「北京週報日本語版」2021年5月19日