5.集中と協調
主要都市の重要性はGDPの集中度で見て取れる。2021年のGDPランキングトップ5都市が全国14.9%、トップ10都市が全国23.2%、トップ30都市が全国42.8%のGDPシェアを占めている。中国297都市のうち、上位10%の都市が富の4割以上を稼ぎ出している。
中国経済は大都市へ集中すると同時に、東部地域への集中度は緩和されている。明暁東元公使参事官は、「GDPランキングトップ10都市の中で、東部地域の7都市は早い回復を見せている。とくに上海、北京、広州の3都市は前年比で5%ポイント以上の加速ぶりだった。中部地域の武漢は、10%ポイント以上の加速だった。西部地域の重慶、成都の4%ポイント以上の加速だった。これら中西部都市の発展は中国の地域格差の縮小に重要な役割を果たしている。2021年東部地域と中部、西部地域の一人当たりGDPは其々2012年の1.69、1.87 から、1.53、1.68へと縮小した」と説明した。
6.三大メガロポリスの存在感は顕著
2021年GDPランキングトップ30では、京津冀(北京・天津・河北)、長江デルタ、珠江デルタの三大メガロポリスの存在が際立っている。同トップ30には京津冀メガロポリスから2位の北京、11位の天津、27位の唐山がつけた。長江デルタメガロポリスから1位の上海、6位の蘇州、8位の杭州、10位の南京、12位の寧波、14位の無錫、19位の合肥、22位の南通、25位の常州、28位の徐州、30位の温州がランクインした。珠江デルタメガロポリスから3位の深圳、4位の広州、17位の仏山、23位の東莞がランクインした。三大メガロポリスから18都市もGDPランキングトップ30入りした。
周牧之教授は、「これは、製造業スーパーシティが三大メガロポリスに集中した結果である。特に長江デルタ、珠江デルタ両メガロポリスには世界最強のグローバルサプライチェーン型産業集積が展開している」と解説する。
明暁東元公使参事官は、「三大メガロポリスの北京、上海、蘇州、杭州、南京、深圳、広州のGDPは其々4兆元、4.3兆元、2.3兆元、1.8兆元、1.6兆元、3.1兆元、2.8兆元を実現した。これらの都市の総経済規模は中国全体の17.4%に達し、中国ハイクオリティ発展の最前列に位置している。中西部地域の重慶、成都、武漢のGDPは其々2.8兆元、2兆元、1.8兆元を実現した。これらの都市の総経済規模は中国全体の5.7%に達し、地域経済の発展を牽引している」と述べている。
徐林雲河都市研究院副理事長・中国国家発展改革委員会発展計画司元司長は、「周牧之教授の研究チームによる世界における経済発展と新型コロナウイルス政策との関係の研究から、コロナ禍での中国経済のパフォーマンスが浮かびあがった。2021年、中国の各都市の努力により、経済成長だけでなく、コロナ禍のダメージコントロールでも良い成績を収めた。
2022年も、厳しいオミクロン株の蔓延を抑え、各都市の持続成長と民生の安定が期待される」とコメントした。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2022年12月15日