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japanese.china.org.cn |23. 02. 2024 |
中国メガロポリスの環境品質と課題:中国総合都市発展指標2022環境ランキング
3.一線・準一線の都市が降雨量の多い地域に集中
降雨量も人間の居住にとって重要な条件の一つである。19のメガロポリスの中で、降雨量が最も多いのは珠江デルタ、粤閩浙沿海、北部湾である。全国平均を上回る降雨量を有するメガロポリスには、長江デルタ、長江中游、成渝、黔中が含まれる。この7つのメガロポリスは全て南部地域にある。
現在、中国の一線都市4都市のうち3都市、準一線都市9都市のうち7都市は、降雨量が全国平均を上回り、上記7つのメガロポリスに集中している。
残りの12のメガロポリスの降雨量は全国平均を下回り、中でも寧夏沿黄と天山北坡が最も少なく、呼包鄂榆(陝西・内モンゴル)、蘭州—西寧(甘粛・青海)がそれに続く。
4.農業生産性は南高北低
19のメガロポリスの中で、耕地面積が最も広いのは哈長と中原(山西・安徽・河南)で、全国の耕地面積に占める割合はそれぞれ11.2%、10.7%に達する。一線メガロポリスの長江デルタ、珠江デルタ、京津冀の全国耕地面積に占める割合はそれぞれ4.5%、0.4%、3.1%で、珠江デルタの割合が最も小さい。準一線メガロポリスの成渝、長江中游、粤閩浙沿海、関中平原の全国耕地面積に占める割合はそれぞれ4.8%、6.6%、2.1%、2.4%で、長江中游の割合が最も大きい。
農業生産性、即ち単位耕地面積あたりの第一次産業GDPを見ると、最も高いのは珠江デルタで、次いで粤閩浙沿海、北部湾、長江デルタ、成渝が全国平均を上回る。残りの14のメガロポリスの農業生産性は全国平均を下回り、その中には耕地面積が最も広い哈長と中原が含まれる。
周牧之東京経済大学教授は、「農業生産性は気候、土地資源、水資源などの自然環境だけでなく、農業への投資にも左右される。農業生産性が全国平均を上回る5つのメガロポリスはすべて南部地域に位置し、且つ農業に大規模な投資を行える経済力を持つ」と指摘している。
5.炭素排出削減圧力は南部より北部が大きい
二酸化炭素排出の削減が中国の国家戦略になった今日、二酸化炭素排出量は、地域の高品質発展を測る重要な指標となっている。中国で最も二酸化炭素排出量の大きいメガロポリスは長江デルタで、全国に占めるシェアは16%に達している。珠江デルタ、京津冀の同シェアはそれぞれ5.6%、8.6%である。三大メガロポリスの合計シェアは、30.2%を占めている。
中国二酸化炭素排出量における成渝、長江中游、粤閩浙沿海、関中平原のシェアはそれぞれ2.9%、4.7%、4.7%、3.1%である。4つの準一線メガロポリスの合計シェアは、15.4%である。
中国二酸化炭素排出量における中原、山東半島(山東)、哈長、呼包鄂榆、遼中南(遼寧)のシェアも高く、それぞれ8.8%、7.8%、4.9%、3.3%、2.9%である。19のメガロポリスの合計シェアは80.9%に達している。
明暁東氏は、「メガロポリスは人口が最も密集する地域であり、二酸化炭素排出の主要地域である。ゆえにカーボンニュートラル達成の為の主戦場となっている。3つの一線および4つの準一線メガロポリスの二酸化炭素排出量は全国の45.6%にも達している。これらのメガロポリスの高品質発展に期待したい」と述べている。
「GDP当たりの二酸化炭素排出量」、すなわち「炭素強度」は、一国あるいは地域の経済と二酸化炭素排出量の関係を測る重要な指標である。エネルギー消費量当たり二酸化炭素排出量とGDP当たりエネルギー消費量の相互作用により、炭素強度のレベルが決まる。19のメガロポリスの中で、炭素強度の成績が最も優れているのは成渝である。次いで長江中游、黔中、粤閩浙沿海、北部湾、珠江デルタ、長江デルタが続く。炭素強度の成績が全国平均を上回るこれら7つのメガロポリスは、すべて南部地域に位置している。
他の12のメガロポリスの炭素強度の成績は全国平均を下回る。その中で炭素強度が最も低いのは哈長で、寧夏沿黄、呼包鄂榆、山西中部(山西)、天山北坡、遼中南、関中平原、京津冀が続く。これら8つのメガロポリスはすべて北部地域にある。
周牧之教授は、「2000年と比較して、2022年中国の炭素強度は40%以上も低減し、大きな成果を上げた。しかし、先進国と比較するとまだ大きな差がある。現在、中国の炭素強度はアメリカ及び日本の2.8倍、ドイツの3.6倍、イギリスの5,5倍、フランスの6倍である。低炭素発展モデルの実現は各都市にとって、いまだ大きな課題である」と述べている。
6.北部地域の空気品質は依然として厳しい
空気品質は地域の環境品質を測る最も重要な指標の一つである。空気品質指数(AQI)から見ると、最も空気が綺麗なメガロポリスは滇中、黔中、珠江デルタ、粤閩浙沿海、北部湾である。これら5つのメガロポリスの空気品質指数は全国平均を上回っている。
残りの14のメガロポリスの空気品質指数は全国平均を下回る。中原が最も空気が汚れている。寧夏沿黄、山西中部、山東半島、蘭州—西寧、天山北坡、京津冀が続く。これら7つのメガロポリスはすべて北部地域に位置している。近年、中国の空気品質は大幅に改善されているが、北部地域の圧力は依然として厳しい。
7.グリーンビルディングは、一線・準一線メガロポリスに集中
グリーンビルディングの数は環境保護意識と環境への投資力を反映している。グリーンビルディング認証「LEED」プロジェクトは、主に一線および準一線のメガロポリスに集中している。中国のグリーンビルディングに占める長江デルタ、珠江デルタ、京津冀の割合はそれぞれ39.1%、15%、17.9%で、これら三つの一線メガロポリスの合計シェアは72%にも達している。
中国のグリーンビルディングに占める成渝、長江中游、粤閩浙沿海、関中平原の割合はそれぞれ4.7%、4.1%、4.7%、1.1%で、これら四つの準一線メガロポリスの合計シェアは14.6%になる。
黄微波氏は、「LEEDプロジェクトの分布から見ると、三大メガロポリスの全国シェアが72%を占め、カーボンニュートラルという国家戦略の実施において、これらの地域が大きな貢献をしている」と指摘する。
楊偉民中国共産党中央財経領導小組弁公室元副主任は、「中国の現代化は多目的なものであり、持続的な経済成長の促進とともに、生態環境の根本的な改善、人々の共同富裕の実現、国家安全と社会安定の確保、カーボンニュートラルの達成を目指している。〈指標2022〉は、中国の都市とメガロポリスの環境を総合的に診断し、中国現代化プロセスを観察するために重要な視点を提供している。〈指標2022〉により、環境評価と経済評価の結果は必ずしも一致しないことがわかった。一部の指標は自然条件によるものが大きい。一部の指標は努力と関連している。都市及びメガロポリスは、経済発展を推進すると同時に、環境品質の改善にも重点を置いてバランスよく取り組む必要がある」と総括している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2024年2月23日