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中学入学金、最高12万超 基礎教育の裏に利益の影
発信時間: 2008-10-15 | チャイナネット
 大多数の人が、「基礎教育(初・中等教育)=受験偏重教育」という等式が成り立つと認識している。長年教育職に就いていた79歳の敢峰氏は、教育が大きく発展する過程に深刻極まりない危機を見て取る。それはずばり、受験偏重教育という問題だ。この問題は気づかないほどのスピードでじわじわと拡大するが、いつかは大問題となるだろう。「中国青年報」が伝えた。

 かつて北京景山学校校長や北京市委員会宣伝部副部長を務めた、豊かな白髪を携えた敢氏は、教育改革開放30年シンポジウムで、「はっと気づいた時にはもう遅いのです」と年令の割にはハッキリした口調で訴えた。同氏が懸念しているのは、多くの人が受検偏重教育にあまりにも無関心であり、一部教師に至っては、受験偏重教育をよくないとはわかっていても、実際は便利なものとして捉えているという現状だ。

 敢氏は、長年の素質教育を「蒼白無力(弱弱しく力がない様子)」という言葉で形容する。これに反して、「受験偏重教育は、風が火の勢いを強めるように激しさを増し、青少年や児童にダメージを与えている。これは、誇張でも何でもない」と語る。同氏はこれに続け、「受検偏重教育は教育分野の『癌細胞』であり、教育という生態系全体に極めて深刻な破壊をもたらす。受検偏重教育の問題は、中国が世界で最も深刻といえる。中国ほど受検偏重教育の道を突き進んでいる国家は他に見当たらない。人材育成の点から見ると、『受検偏重教育+現代社会=ロボットによる作業工場』の公式が完成するだろう」と警告した。

 このような状況が生まれた原因は最低3つあると敢氏は指摘する。まず、教育改革は最低10年間滞り、その間に最良の改革チャンスを逃してしまったこと。2つ目に、基礎教育事業は急速に進み、規模も大きかったが、科学的な発展観という中心軸や戦略的思考に欠けていたこと。第3の原因として、教育主管部門が鈍感で、将来の見通しがなく、実行力も不足していたことが挙げられた。
 
 基礎教育に40年以上携わってきた北京市第一中学(北京一中)元校長の王晋堂氏は、敢峰氏と同様、自らが愛してやまない教育事業に対する警戒心と懸念で一杯という。王氏は、「受験偏重教育がますます激しくなる裏には、それから利益を得ている人々による後押しがある」と皆を不安に陥れるような発言をした。

 王氏はひとつの例として、ある臨時工の子供が「中学入学」の際、北京の某有名中学に合格したケースを挙げた。両親はかなりの入学金が必要に違いないと思い、苦労してここ数年少しずつ蓄えた5万元を全額携え、入学登録に赴いた。すると、学校側からは、12万元という信じられない額が示された。「まるで追いはぎに出会ったようなものです。しかし、教育業界関係者はそう捉えず、世間知らずだと嘲笑しただけでした」と王氏は語った。同氏が知る限り、12万元は北京市内の学校入学金としては最高額ではなく、最高は数字を言っても誰も信じないような額という。

 30年にわたる基礎教育の発展途上で、2つの深刻な問題が生まれたと王氏は指摘する。ひとつは重点校からモデル校への転換で、もうひとつは教育の産業化という大勢のもと、国有資産が流失し、公立学校が民営学校に変わったことだ。

 大多数の人から激しい非難の声が挙がったこれらの方法を変えることは、長い間難しいままだ。この裏には、既得利益を得ていた人々からの大きな妨害があった。その既得権益の受益者とは一体誰なのか?王氏は答えた。第一の受益者は一部の学校、第二の受益者は政府および関連教育行政部門という。一部政府は重点校を対外PR用の窓口と自身の政治業績に利用したのである。

 2006年に「義務教育法」が公布された後、重点校や重点クラスという教育制度は、法律上廃止された。しかし、最近2年間の「義務教育法」実施過程において、「次々と押し寄せる抵抗力」を王氏は強く感じている。同氏によると、北京市は2007年に「義務教育法実施弁法」の制定作業に着手したが、まだ発表されていないという。

 王氏はこの現状から、「本当の意味での『義務教育法』施行への道のりはまだまだ遠い」とため息をついた。(編集KM)



 「人民網日本語版」 2008年10月15日
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