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ファストフードの時代に中国飲食文化の伝承は?
発信時間: 2008-10-31 | チャイナネット
 ▽若者の65.8%は西紅柿炒鶏蛋(トマトと卵の炒め物)しか作れない

 「祖母が作ってくれた梅菜扣肉(豚肉の梅菜しょうゆ煮込み)は忘れられない味です。豚肉の白身と赤身が半分半分で油濃くなく、梅菜の香りが肉に浸みこみ、ほんのり甘みがあってとても美味しいんです」-重慶市のある職業学校に通う天さんにとって、この味は今では記憶の中にしかない。天さんは、「祖母の味を受け継いだ家族は誰もいません。この料理が食べたい時は、レストランに行くしかないのです。でも、どの店の味も似たりよったりで、祖母が作ったあの味が出てくることは決してありません」と続けた。 「中国青年報」が伝えた。

 北京で一人暮らしの天さんは、アルバイトに追われる毎日で、家で料理をするといった考えは毛頭ない。食べるものは外で買ってきて空きっ腹を満たし、たまに出かけるレストランでややまともな食事をする。このように、家庭料理の味には無縁の日々を送っている。

 「食」は最近、ますます「快速化」かつ「標準化」している。都会で頑張っている若者達の中で、毎度の食事に心を砕く人がいったいどれだけいるだろうか?中国青年報社会調査センターが新浪網ユーザー1996人(80年代生まれ43.1%、70年代生まれ36.3%)を対象に行ったオンライン調査結果によると、調査対象者の45.4%は、簡単な家庭料理を作ることで「食」の問題を解決していた。31.9%は、自分でさまざまな料理を作ることができると答えた。また、30.5%はレストランまたは職場で食事をしていた。両親の手料理を食べていた人は21.4%、カップ麺や冷凍ギョーザなどを主に食べていた人は9.3%だった。

 簡単な家庭料理を作ることができると答えた人は、わずか65.8%にとどまった。

 「男を射止めるには胃袋をつかめ!」ではなかったのか?深センIBMに務める張新氏は、この考えはもう古いと思っている。「母は、新しい理想的結婚相手の条件を私に教えてくれました。それは、善良で、落ち着きがあり、浮気性ではない、などで、料理は条件に入っていません。料理ができない女の子は今どきごく当たり前で、料理上手が『良妻』の条件となる必然性もありません。簡単な料理が出来さえすればそれで十分です。料理を本格的に味わいたいなら、レストランに行けば良いのです」と語った。

 今回の調査対象者のうち、西紅柿炒鶏蛋(トマトと卵の炒め物)など簡単な家庭料理を作れると答えた人は65.8%、料理のレパートリーが広いと自認する人は29.6 %だけだった。カップ麺、インスタントラーメン、水餃子しか作れないと答えた人が3.9%いた。

 北京で長く飲食業の人事管理に携わる周賛中氏は、「今の若者の食生活は、いっそうファースト・フードに傾いています。食べるための時間を節約して、その分を仕事や遊びに回しています」と指摘する。彼によると、昔から伝えられてきた養生煲湯(漢方スープ)を作れる人がだんだん減っているという。同氏はさらに、「乾燥ナマコの戻し方をご存じですか?ナマコを水の入った油気のない鍋に入れ、火にかけ、休みなく鍋の中をかき回します。戻したナマコは極上の味です。昨今のレストランでは、ナマコを戻した後、伝統的なナマコ処理技術を用いる代わりに流れ作業で処理しています。レストランにナマコを食べに行くと、最高の海綿部分はすべて捨てられ、口に入ることはありません」と続けた。

 今回の調査対象者の37.9%は、料理学校に通っているという。料理学校に行きたいが時間がないという人は35.9%、料理を学ぶつもりはないと答えた人は26.2%だった。また、44.9%は、飲食文化は先代の知恵を豊かに含むもので、伝承すべきものだと考えていた。若者の多くは素晴らしい中国料理を作る能力を失っており、伝統的な飲食文化の一部は、時代とともに消失していると思っている人は25.3%いた。
 
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