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臨場感ある月面の全体写真
発信時間: 2008-11-13 | チャイナネット

国家国防科学技術工業局は12日、月周回衛星「嫦娥1号」が送信した画像データに基づき作成された中国初の月全体の写真を公開した。「これまでに世界で発表された月の写真で、最も完全な1枚だ」と、月探査プロジェクトで地上応用システムを担当する李春来総設計士は強調する。

 嫦娥1号は07年10月24日に打ち上げに成功、同年11月20日にCCD立体カメラでの撮影を始め、08年5月12日までに南緯・北緯70度以内の月面の全区域をカバーする画像データを収集、ミッションを完成した。

 月の極周辺は光が微弱だが、衛星とCCDカメラの性能が抜群で、作業状況も安定しているため、プロジェクト本部はカメラの設定を調整して、両極の撮影テストを行うことを決定。極周辺の鮮明な写真の撮影に成功した。両極の画像データの収集には2カ月余りかかった。このようにして嫦娥1号は、寿命内に月全体の完全な画像データを収集することに成功したのである。

 専門家は、この画像データについて「完全で、情報に富み、SN比が大きく、高品質で、画像の質と作成において世界の先進水準に達している」との認識で一致している。

「写真は高品質で、肉眼で見た月面と完全に一致している」と李総設計士は言う。

 月面は主に斜長岩、玄武岩、およびその粉塵で覆われており、太陽光の下でさまざまな深度の灰色を呈す。このため月面は一面の灰色の世界だ。

 嫦娥1号のCCDカメラは画像形成に500~750ナノメートルの全色の波長を採用。感光波長は肉眼と同じだ。このため今回発表された写真の色調は私たちが肉眼で見たものと完全に同じで、まるで「その場に身を置いているように」近距離から月面を「見ている」ようだ。嫦娥1号のCCD画像データは月面の隅々までカバーし、しかも月全体にわたって同一(120メートル)の空間解像度を維持。これまでで最もデータが揃い、最も斉一性が高い月面画像となっている。(編集NA)

 画像の処理とはめ込みの技術も高水準に達している。李総設計士によると、合理的な光度修正モデルと各位相角の相互補完の採用により、画像は色調の斉一性が高まり、鮮明で、グラデーションが豊かで、地形の輪郭がはっきりし、情報量が多くなった。

 月全体の写真は589枚分のデータをつなぎ合わせて作成された。「この589枚のデータ(写真)は、1枚が幅60キロ、長さ5000キロ余りの広さに当たる」と李総設計士は説明する。

 つなぎ合わせて完成した月面図と制御点の位置偏差は88.6%が3キロ内に収まり、制御点との測位精度は相当で、4~10キロ内のデータはわずか7%程度。偏差が大きいのは主に月面の両側・背面・正面の高緯度区域だ。

 嫦娥1号とCCD立体カメラは中国の科学技術者が4年近くの研究開発を経て完成したものである。

 「人民網日本語版」2008年11月13日

 



 

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