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古代から息づく「天人合一」の思想
発信時間: 2008-12-12 | チャイナネット

「中和」を重んじる飲食文化

黄河上流のズオゲ(若爾蓋)湿地。貯水量は8億4000万立方メートルに達し、黄河に絶え間なく「体液」を注いでいるため、「中国の腎臓」と呼ばれている

飲食の面でも、「天人合一」の考えによって中国人は、飲食を重んじて、季節に応じて調和のとれた養生をし、身体を強くする。

伝統的な飲食文化は「医食同源」で、各種の食物は漢方薬と同じように、それぞれ「寒」「熱」「涼」「温」「平」の異なる効能があると考えられている。例えば、スイカの性質は「涼」、ニガウリは「寒」、羊の肉は「熱」、アヒルの肉は「涼」、アズキは「温」、緑豆は「涼」……。

そこで、季節の変化につれて効能が適した食物を摂取する。例えば、夏の真っ盛りで暑さが厳しく、口が渇き、イライラするようなときには、「涼」のスイカを食べると、甘くて口に合い、熱を下げ、毒を消す。さらに夏に消化機能が減退した時には、トウガンあるいはハトムギといっしょに弱火で煮た「涼」のアヒルを食べれば、蛋白質を補うことができ、熱を下げ、湿気を払う。逆に、もしも夏に「熱」の羊肉を食べ過ぎれば、のぼせてしまい、内臓に熱を生じ、病気になる。

夏の苦しさを乗り切れば、空が高く、空気のすがすがしい秋になる。しかし、秋は空気が乾燥していて喉の痛みが生じやすく、また体液が乾燥で悪くなり、それによって便秘になりやすい。こうしたときにジューシーで「涼」の梨を少し食べれば、乾燥を潤し、呼吸器を治すことができる。そして「涼」のレンコンで煮たスペア・リブを食べれば、栄養豊かで、食欲は増進し、便通が良くなる。

三峡ダムの奥地に位置する重慶市巫山県はエコ農業を行い、荒地を良質な耕地に変えた(新華社)

冬は寒さが厳しいので、人体はエネルギーの高い「熱」の食物を補う必要がある。こうした時には、羊肉や牛肉、豚のもも肉をショウガやナツメ、醸造酒とともに軟らかくなるまで煮る。これを食べれば身体に良く、「冬補」と呼ばれる。

伝統的な飲食文化はまた、「中和」を重んじる。

まず食物の「中和」である。食物は多様性が必要で、五穀を主とし、「五畜」(牛、羊、鶏、犬、豚)、「五菜」(ワラビ、マメの葉、ラッキョウ、ネギ、ニラ)、「五果」(クリ、スモモ、アンズ、モモ、ナツメ)で補い、肉や魚のなまぐさ料理と精進料理を組み合わせ、さまざまな食物の中から各種の栄養を吸収する。

次に料理の「中和」である。なまぐさと精進の原料を巧みに組み合わせ、さらに「甘い」「すっぱい」「苦い」「辛い」「塩辛い」の「五味」と各種の複合した味をうまく調合し、適度の火加減で調理すれば、味も香りも素晴らしく、身体に栄養をつける料理をつくることができる。

 

工業文明がもたらした危機

北京市内の汚水処理場
この2、300年、人類社会は工業文明の時代に入り、それは社会の繁栄や進歩をもたらした。しかし、科学技術と生産力の高度の発達や過度に利益を追求する社会発展のパターン、消費を奨励し、ひいては贅沢な消費によって生産の規模を維持する制度、人口の急増などが、自然の生態系と人類社会の発展を対立させた。そして、鉱物資源や石油、天然ガス、水資源を乱開発したり、ほしいままに草地を開拓したり、森林を伐採したり、大気や水を汚染するなど、深刻な生態系の危機が人類にさまざまな生存と発展の問題をもたらした。  中国の人口は新中国が成立した1949年には5億4000万人だったが、急速に増加し、現在約13億人になり、これも生態系にとって大きな圧力となっている。

中国の工業文明の発展はやや遅れている。しかし政府は、生態系や環境の保護を重視してきた。1973年、中国は全国環境保護会議を開き、1979年には『環境保護法』を公布し、経済建設や都市と農村の建設、環境建設を「同時に企画し、同時に実施し、同時に発展させる」ことなどを要求した。

近年、政府はさらに生態環境を保護するために、さまざまな措置を講じた。しかし、いろいろな理由で、現在の中国の生態環境は憂うべき状態である。

黄河は中国の母なる大河である。しかし上流は、黄土高原を流れるので水土流失がひどい。毎年、16億トンの土砂が黄河に流れ込むため、中、下流の河床は土砂の堆積で高くなり、黄河を「天井川」にしてしまった。歴史上、黄河は何回も氾濫して災害を引き起こしてきた。しかし近年の干ばつ、水源不足、水の使いすぎで、ついに何回も「断流」(水の流れが途絶えること)してしまった。

江西省新余県の農民は、有機野菜を栽培する畑で太陽エネルギーを利用した殺虫器を利用している。光の波長によって虫を誘う仕組みになっていて、環境にやさしく、効果も高い(新華社)

中国最長の大河である長江は、上流の水土流失によって、毎年、5億トンの土砂が流れ込む。そのため、長江の洪水調節機能を持つ洞庭湖や鄱陽湖は、土砂の堆積で小さく、また浅くなった。洞庭湖の面積は毎年、88平方キロ小さくなり、鄱陽湖の容積は、かつての370億立方メートルから298億立方メートルにまで減少した。また江漢平原(湖北省中南部)にある湖の数は、1066から309に減少し、その面積は8830平方キロから2980平方キロまで縮小した。このため、1998年に長江の大洪水が起こると、洪水の一部を湖に流すことができず、千人以上の人が亡くなり、経済的被害が1600億元以上の大災害となった。

工業排水や都市部の生活汚水によって、川や湖はひどく汚染された。江蘇省無錫市の市民の飲用水は、中国第三の淡水湖である太湖から取り入れている。しかし近年、ひどく汚染された排水が湖に流れ込み、太湖に藍藻を急速に繁殖させた。水質は悪化し、水道水さえもいやな臭いがするようになった。市民たちはやむを得ず、行列してボトル入りミネラルウォーターを買って飲んでいる。

目前の利益に動かされて、金儲けに夢中になっている一部の人々は、自然の生態系が破壊されるのに目もくれず、資源の略奪に狂奔している。この数年、有名な漢方薬である「冬虫夏草」が高値で売れているため、多くの人々が続々と青海省の高山の草地に入り、「冬虫夏草」を盗掘している。草地が破壊されるのは言うに及ばず、「冬虫夏草」も絶滅の危機に瀕している。そのほか、まぐわを持った多くの人々が、甘粛、寧夏、内蒙古の荒れ果てた砂漠に赴き、「髪菜」や「甘草」を掘り、その地の砂漠化を激化させている。

 

「任重くして道遠し」

湖北省宜昌市のレストランやホテルの多くは、 施設運営のエネルギー源を従来の石炭から太陽光に変えている(新華社)

地球温暖化、干ばつ、水土の流失、河川湖沼の汚染、大気汚染、エネルギーの欠乏などの厳しい生態系の状況に直面し、ここ数年、中国政府は「科学的発展観」の貫徹を提起し、生態環境を保護し、人と自然の調和のとれた発展戦略を実施している。スタートしたばかりの中国のエコロジー文化の建設は、「任重くして道遠し」といえるだろう。

現在、中国は林業の生態系建設を急いでいる。その中で、東北、華北、西北にまたがる「三北防護林帯」は延々7000キロも続き、すでに北方からの風と砂を防ぐ「緑の障壁」となっている。また、黄土高原に木と草を植え、黄河流域の小規模な水土保全のプロジェクトも、水源を涵養し、水土の流失を減らす効果がすこし見え始めた。

荒れ狂う北方の砂嵐に対して、北京、天津、内蒙古などで実施された「風砂源の整備プロジェクト」によって、一年間の砂嵐の日数が、2000年の19日から2008年の12日にまで減った。

 中日共同開発の風力発電機。2007年末に甘粛省絶滅危惧動物研究センターで使用が始まった。弱い風でもで動き、性能が安定していて発電効率が良い(新華社)

各省や自治区で広く展開されている「速生豊産林(成長が速くて生産量が多い植林)基地建設プロジェクト」や「耕地を林に戻す」「牧場を草原に戻す」の活動によって、各地の生態環境が改善されつつある。毎年3月には全国植樹日が制定され、これまでに累計で515億4000万本の木が植えられ、祖国を緑化しようという人々の意識が深まった。とりわけ1998年に起きた長江の洪水の教訓を汲み取り、長江の上流では天然林の保護プロジェクトが実施され、森林の伐採と木材の加工が厳禁された。そして、伐採に従事してきた労働者や木材工場の労働者たちは、山に木を植え、林を保護するようになった……。こうした有効な対策のおかげで、長江上流の山林はまたうっそうと茂るようになった。

現在、中国には2531の各種の国家自然保護区があり、総面積は152万平方キロに達する。政府は法律を制定し、専門の機構と人員を配置し、さまざまな厳しい措置を講じて保護区内の各種の希少動植物を保護している。とくにパンダ、キンシコウ、東北トラ、トキなどの中国特有の希少な絶滅危惧動物とギンサン、メタセコイヤ、キンセンマツなどの希少植物はよく保存され、人類のエコロジー文化の建設に貢献している。

エコロジー文化の建設において重要なのは生産方式の転換である。つまり「高投入、高消耗、高排出」の粗放型生産方式を、省エネで環境保護の、循環利用できるエコ産業に転換することである。そのためここ数年、各地で、エネルギーの消耗がひどく、汚染が深刻で、効果と利益が少ない小規模の、万を数える火力発電所や化学工業、化学肥料、セメント、製紙の工場が生産を停止したり閉鎖されたりした。

政府は風力発電への投資を増大し、沿海地区や西北地区など風力発電に適した地域に発電所を建設している(新華社)

と同時に、「低投入、高産出、低消耗、低排出」のハイテク企業を積極的に支援し、水力、風力、太陽エネルギーなどの、清潔で再生できるエネルギーの開発に大きな力を入れた。2007年末までに158の風力発電所が建てられ、発電機の容量は590万キロワットに達している。太陽エネルギーの開発・利用は、毎年150%のスピードですさまじく発展しつつある。

現在、各地の農村で推し進められているメタンガス池のプロジェクトも、良性循環のエコ産業である。それは、人畜の糞便を密封したメタンガス池に入れ、発酵させてメタンガスを発生させて、それを家庭の調理の燃料にする。これによって薪を節約し、山林を保護する。さらにメタンガス池の滓を肥料とすると、穀物も果物もよく実り、虫もつきにくい。化学肥料や農薬を使う必要はなくなるし、汚染も減少する。さらに、糞便をメタンガス池に入れることで、農村の衛生状態も良くなる。一石二鳥ならぬ一石数鳥のメタンガス池は、農村の生産のあり方やライフスタイルを変えた。現在、中国ではすでに、1807万戸の農家がメタンガスを利用している。

太陽光が豊富な青海・チベット高原では、太陽エネルギーを利用して湯を沸かしたり食事を作ったりしている(新華社)

エコロジー文化を建設するには、社会全体の支持と参加が必要である。そこで、政府と民間の生態環境保護組織は、人々に、今までのライフスタイルを転換し、エコロジー文化の建設ために貢献するよう呼びかけている。例えば、エネルギーの欠乏、原油価格の高騰に直面し、多くの市民は、進んでバスの利用を選択した。これによってエネルギーの消耗や交通渋滞、車の排気ガスによる汚染を減少させようとしている。

現在、北京郊外には4000以上のゴミ埋め立て地がある。山のように積まれたゴミを見て、多くの市民は、分解しにくいポリ袋を使わなくなった。また、できるだけはやく日本のように、ゴミ発電の技術を開発し、汚染を減少させ、エネルギーを増やそうとしている。さらに日本に学んでゴミの分別を習慣づけ、リサイクルを図ろうと主張する市民もいる。

さらに学生たちが先輩の使った教科書を再び使って紙を節約し、木材の消耗を減らす習慣も次第に広まってきた。住宅の屋上に太陽エネルギーを利用する温水器を設け、シャワーに使ったり、雨水を集めて緑化や洗車に使ったりするのも、資源を節約するうえで効果があり、中国社会に広まっている。

 

人民中国インターネット版 2008年12月

 

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