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08年の中国科学の10大発見(1)降雨と歴代王朝興亡との関係
発信時間: 2008-12-30 | チャイナネット

 

 

 

蘭州大学資源環境学院の張平中教授は鍾乳洞の石筍から、モンスーンの衰退が意外にも王朝の興亡と明らかな対応関係にあることを発見した。この研究成果は国際的に権威ある米国の雑誌「サイエンス」11月7日号に掲載。

 

発見者の話

石筍は王朝の興亡をどのように反映できるのか。もともと、石筍の主要成分は炭酸カルシウムであり、洞穴外部の降水が石灰岩を溶解した後、一滴一滴、下方に沈殿して形成されたものである。石筍には、酸素の同位元素が炭酸カルシウム中に存在している。モンスーン地区では、降水量が多ければそれだけ、酸素の同位元素は負となる。そのため、酸素同位元素の含有量が研究者に洞穴の外の大気、降水の状況を教えてくれるのである。

そうしたことから私は、モンスーンの変化と王朝の興亡との間に歴史的かつ必然的な関係があると考えた。なぜなら、わが国の降水の大半はアジアモンスーンの変化と密接な関係があるからである。モンスーンが強まれば、海洋を通してもたらされる降水は増大し、気候は温暖、湿潤となる。モンスーンが弱まれば、気候は乾燥し、寒冷となる。アジアモンスーンが強大な時には、農産物は豊作となり、人びとの生活は安定する。逆の場合、農産物は不作となり、一揆が起き易くなる。私は中国の過去1810年におよぶ高精度、高解析率の降雨量変化の曲線を描き、それを歴代王朝の交代と比較してみた。その結果、降水量が大幅に減少した年と王朝が衰退した年が一致していることが分かった。

 

権威筋の評価

スイス連邦技術研究所の古生物・気象学者のジェラルド・ハーグー氏――長年見たことのない最も貴重な論文であり、最新の洞穴の記録は気候そのものに潜む破壊的な影響力を物語っている。

 

張平中氏 蘭州大学資源環境学院教授。同位元素による地球化学・環境変化の研究が専門。

 

「チャイナネット」2008年12月30日

 

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