5万人の人口を擁するポルトガル・アベイロ市は自動車の保有台数が非常に多く、大気汚染と交通渋滞が深刻である。同市はいかにして自動車から環境にやさしい自転車への乗換えを推進しているのか。
スウェーデン・クリスチャンスタード市は環境保護のために「鉱物燃料を使わない都市」という大胆な目標を打ち出した。不可能に思えるこの目標を達成することはできるのだろうか。
上海万博では初の試みとして「ベストシティ実践区」が設置される。世界各地の都市が生活やエコに関する難題をどのように解決しているかを展示することで、都市の持続可能な発展の方向性を指し示すのである。
「ベストシティ実践区」は万博会場の浦西エリアに位置し、敷地面積は15ヘクタール。世界各地の都市の事例が集中的に展示される。ここはもともと古い工場があった場所で、出展された現物と事例が集まる暮らしのシミュレーションゾーンとなる。参観者は展示を見るだけでなく、「ベストシティ」での暮らしや仕事、余暇を体験することができる。「ベストシティ実践区」の面積は会場全体の3%にすぎないが、上海万博の目玉となることだろう。
冒頭で述べた2つの問題を解決するために、両都市はどのように「実践」し、成功を収めているのだろうか。
アベイロ市は、自転車を都市生活に導入しようと、都市の重要な地点にレンタサイクル場を設置して、市民に無料で貸し出している。0.5ユーロを投入すると自由に自転車を利用することができ、自転車を返すときに0.5ユーロが戻ってくるというしくみだ。実施から5カ月で、利用者の数は延べ5万人に達した。これはアベイロ市の人口に相当する。
クリスチャンスタード市は、「鉱物燃料を使わない都市」という目標を実現するために、まずはバイオ燃料を燃焼する火力発電所と集中型熱供給施設を建設した。これによって、二酸化炭素の排出量を年間7万5000トン削減。バイオ燃料は都市周辺の半径100キロ以内の森林廃棄物から得たものである。続いて、汚水からバイオガスを分離する工場を建設し、自動車の燃料として提供している。このほかにも、風力発電機11基と水力発電機1基を保有しているうえ、自転車の利用を奨励するために自転車専用道路を建設するなどの措置も講じている。
すでに30余りの都市が「ベストシティ実践区」の出展プランに調印している。世界各地の都市はどのような事例を申請しているのだろうか。