雑誌「ネイチャー」最新号によると、南京師範大学地理科学学院の沈冠軍教授、中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の高星研究員などの専門家がこのほど、北京原人が生存していた時代はこれまでの推測をさらに遡る77万年前で、従来の説よりもさらに27万年も前であるとの最新の研究結果を発表した。この研究結果は国内外で大きな反響を呼び起こしており、北京原人が再び脚光を浴びている。「揚子晩報」が伝えた。
中国国内の現行の教科書では、いずれも周口店北京原人は「今から40-50万年前に生存」という結論が記されており、この推論は今から80年前に遺跡が発掘された当初、古生物学者が同時に発掘した動物の化石に基づき算出した結果だった。沈教授によると、今回の研究ではアルミ製ピンを地層に差し込む、原人研究分野で最近になり採用されたばかりの最新手法を取り入れた結果、遺跡の地層が今から30-40万年前から400-500万年前という測定結果が得られた。この新たな手法は2004年に採用されて以来幾度にもわたり測定が行われた結果、遺跡の地層は今からさかのぼること77万年前、誤差は8万年という結論が出された。
今回発行された「ネイチャー」の表紙には、「北京人は凍えていた」との大きく黒い題字が踊っていた。ある海外の学者の評論によると、このすばらしい研究結果は、歴史認識をわずか20-30万年さかのぼったにすぎないが、中国人の祖先の生存環境について、「より寒い時代に暮らしていた」ことがわかった。今回の新たな結論は、北京原人の生存していた気候条件を改めるものになるという。
北京原人は北京市西南部郊外の周口店遺跡で発見された。1929年、古人類学者の裴文中氏が同地区竜骨山猿人洞の中で初めて完全な北京原人の頭蓋骨化石を発見、これにより、ジャワ原人発見後の、「猿人は猿か人か」という論争が解決され、猿人が人類の進化の過程で重要な段階であったことが確認された。周口店遺跡にはまた、人類が歴史上最も早く火を使用した証しが残されている。しかし残念なことに、1920年代から30年代にかけて発見されたすべての北京原人の化石は、いずれも1941年の太平洋戦争の際に行方不明となり、どこへ持ち去られたのか、現在まで謎となっている。北京原人の化石の失踪は化石の発見と同様、全世界を震撼させた。(編集HT)
「人民網日本語版」2009年3月13日